店舗や企業の経営に大きな影響を与えるのが、ユーザーによる口コミです。
しかし、その内容は、よいものばかりとは限りません。時には悪い口コミが書かれることもあるでしょう。
悪い口コミが書かれたときに大切なのは、その後の対応です。
この記事では、悪い口コミがなぜ発生するのか、その原因をひも解くとともに、悪い口コミが書かれたときの対応策を紹介します。
CONTENTS
口コミが与える影響をデータから読み解く
店舗を経営している人にとって、口コミはお客のダイレクトな感想や意見を知るための重要な機会です。では、具体的にどのような影響を与えているのでしょうか。データをもとに解説していきます。
口コミを事前に確認する人は9割を超える

画像引用:https://lifeisart.jp/restaurant-review-investigation/
飲食店コンサルティングを運営する「LIA」が、2023年に、20代〜60代までの男女約600名を対象に行った調査によると、飲食店を利用する前に口コミを確認する人の割合は、全体の92.5%にのぼることがわかりました。つまり、ほとんどの人が、飲食店を利用するかどうかの判断材料として、口コミを参考にしている、ということになります。
Googleの口コミ評価は「3.8以上」が指標になってる

画像引用:イクシアス株式会社調べ
店舗情報発信・分析プラットフォーム「STOREPAD(ストアパッド)」を運営するイクシアス株式会社が2025年4月に行った、「飲食店を探す際の口コミの影響について」アンケートによると、「行きたい」と思う飲食店の口コミ点数は4である、と答えた人が最も多く、全体の26%にのぼりました。これは、直近3ヶ月で外食をした20代〜60代の男女500名を対象に行われたものです。2番目に多かった回答が「3.8」で全体の14.2%を占めています。
この結果から、口コミ点数が3.8以上の店舗なら安心して行けると思っている人が多い、ということが読み取れます。
口コミの数も信用につながる

画像引用:イクシアス株式会社調べ
同アンケートによると、飲食店の口コミやレビュー数は、101件以上あれば信用できる、と回答した人の割合は、全体の30.6%にのぼりました。また、31〜100件以上と回答した人は20.8%で、およそ半数の人が「口コミやレビューは30件以上あれば信用できる」と考えていることがわかります。
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悪い口コミを書く人の特徴や心理
店舗の口コミには、よいものだけでなく、悪いものもたくさんあります。なかには、悪い口コミばかり投稿しているユーザーも少なくありません。
悪い口コミを投稿する人たちには、どのような背景が考えられるでしょうか。その特徴や心理を解説します。
過度に期待をして不満を抱く人
悪い口コミを書く人の心理として考えられるのが、「期待と現実とのギャップに不満を抱いている」ことです。「今までで一番SNS映えする可愛い店内だった」「料理がビックボリュームで、リーズナブルだった」など、よい噂を聞いている人ほど、過度に期待を抱きます。
トラブルを他人に共感してもらいたい人
トラブルが発生したので誰かに共感してもらいたい、不満を直接言えないけれど誰かに聞いてもらいたい、という心理から悪い口コミを投稿する人もいます。店舗を利用して、不快な気持ちになったり不満を抱いたりしたことを共有し、自分の気持ちを理解してもらいたい、自分の考えを支持してほしい、という目的で口コミを書くパターンです。
また、店舗にクレームを入れる勇気はないけれど、不快な出来事や不満な気持ちは誰かに知っておいてもらいたい、という気持ちから悪い口コミを書く人もいます。
匿名性によって本性が現れる人
多くの口コミサイトは、匿名で書き込みができるようになっています。その匿名性を悪用し、ストレス発散の手段として、あえて悪い口コミを書く人もいます。ファンやアンチになりやすい人
他店の熱烈なファンの人が、お気に入りの店の評価を上げるために、わざと悪い口コミを書くケースもあります。たとえば「この内容のコースなら、〇〇ならもっと安く提供してくれる」「この料理なら、□□で食べた方が絶対においしい」という口コミなどが、その例です。
この場合、「お気に入りのお店を応援したい」という気持ちが勝り、このような書き込みをすることが多いでしょう。
また、自分の期待通りのサービスを受けられなかった、という理由でアンチに転じて悪い書き込みをする人もいます。
たとえばずっと通っているのに特別扱いしてもらえない、わがままを聞いてもらえない、という理由で悪い口コミを書く人も一定数います。
悪い口コミを書かれやすい業界とサイト
ここからは、どのような業界が悪い口コミを書かれやすいのか、その理由を検証するとともに、実際に悪い口コミが目立ちやすいサイトもあわせて紹介します。
飲食店
口コミのレビューサイトが多い飲食店は、その分悪い口コミが書かれやすくなります。また、お店の利用を決定するのに口コミサイトを利用するユーザーも多いことから、「有名サイトに口コミを書けば、影響力があるはず」と考えて、あえて悪い口コミを書く人も少なくありません。
特に悪い口コミを書かれやすいサイトは、以下の3つです。
- 食べログ
- Retty
- ホットペッパーグルメ
病院・クリニック
病院やクリニックは、何かしらの悩みを持って訪れる人がほとんどなので、長文の口コミが書かれやすいのが特徴です。また、ナーバスになっている人が多いことから、普段ならあまり気にならないことで気分を害したり、傷ついたりすることも多くなります。
その結果、ほかの業種よりも比較的悪い口コミを書かれる機会が増えてしまうのです。悪い口コミが多く見られるサイトは、以下のとおりです。
- 病院なび
- Caloo(カルー)
- QLife
ホテル・旅館
ホテルや旅館といった宿泊施設は、スタッフの接遇応対だけでなく、施設の清潔さや食事のおいしさ、施設の充実度など、さまざまな角度から評価される傾向があります。そのなかのどれかひとつに不満を抱かれてしまうと、ほかの評価がよくても悪い口コミを書かれやすくなります。
- じゃらんnet
- トリップアドバイザー
- 楽天トラベル
企業の採用活動
悪い口コミが書かれやすいもののひとつが、企業の採用活動に関する口コミサイトです。就職サイトや転職サイトの口コミは、現職の社員ではなく、不満を持って退職した人が多数書き込みしています。
そのため、ほかの口コミサイトよりも、悪い口コミが目立つ傾向にあります。
- 転職会議
- Openwork
- カイシャの評判
そのため、強い不満を抱いている人が悪い口コミを書くケースが多い、と考えられます。
美容・サロン
美容院やサロンも、悪い口コミが書かれやすい業種のひとつです。美容院や美容系のサロンは、仕上がりの満足度は個人の好みに左右されやすいのが特徴です。また、施術者の完成イメージと顧客の理想のイメージが異なることも多いため、悪い口コミにつながりやすい、と考えられます。
- ホットペッパービューティー
- 楽天ビューティー
- ビューティーパーク
通販・ECサイト
通販やECサイトでは、お店そのものではなく、商品や梱包、配送に関する悪い口コミが多いのが特徴です。特に商品に関する悪い口コミは、サイトに掲載されていた画像と実際に届いたものが違ったなど、期待外れになった場合に書き込まれることが多くなります。
- Amazon
- 楽天
- Yahoo!
学習塾・予備校
学習塾や予備校では、授業の質や先生の態度ではなく、「思ったよりも成績が伸びなかった」「志望校に合格しなかった」などという理由で、悪い口コミを書かれやすい傾向にあります。特に、期待して入塾したのに、思うような結果が得られなかった、というケースが、悪い口コミにつながりやすいでしょう。
- 塾選
- 塾なび
- Ameba塾探し
不動産
不動産関係も、悪い口コミが書かれやすい業種だといえます。特に賃貸住宅の契約に関しては騒音やご近所問題など、実際に住んでから判明するトラブルも多いため、後悔している、といった内容の悪い口コミが多数見られます。
- Yahoo!不動産
- ふどサーチ
- いえらぶ不動産会社検索
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悪い口コミが及ぼす悪影響
悪い口コミは、店舗や会社にさまざまな悪影響を及ぼします。具体的にどのような悪影響があるのかを、ピックアップして紹介します。
集客や売上げのダウン
悪い口コミが増えると、集客や売上げがダウンする可能性があります。初めての店を訪れる際や、初めてのサービスを利用する際、ネットの口コミを利用する人は多いものです。そのため、悪い口コミが目立ってしまうと、「この店を利用するのはやめよう」「この商品は、購入しない方がよさそうだな」と思われてしまうでしょう。
ブランドイメージや信用の低下
口コミサイトにネガティブな情報がたくさん掲載されるほど、店舗や企業のブランドイメージが悪くなります。たとえ「料理はおいしかったけれど接客は最悪だった」「スタッフは親切だったけど、待ち時間が長かった」などと、一部の評価が悪いだけであっても、その、悪い評価の印象が強くなってしまいがちです。
その結果、「あそこの接客はよくないらしい」「あのお店は待たされるらしい」など、悪いところばかりが拡散されてしまい、結果的にイメージが悪化してしまうのです。
採用活動に悪影響
悪い口コミが多いと、採用活動にも悪影響を及ぼします。最近では、就職活動にネットを利用したり、応募を検討している企業を検索して、評判をチェックする人が増えています。
誹謗中傷による士気の低下
悪い口コミは、実際に働いてくれているスタッフの士気を低下させる恐れがあります。特に「接客が悪い」「スタッフの感じがよくない」など、自分の働きぶりを否定する口コミを見つけると、「いくら一生懸命やっても評価されないなら意味がない」と感じ、仕事へのやる気が失われてしまうでしょう。
また、「こんな口コミ評価の悪いところで働きたくない」と考えて、退職してしまう人も出てくるかもしれません。
検索エンジンでのネガティブな露出が増える
「あの店はまずい」「あの店は不潔だ」などといったネガティブな口コミが増えると、それをネット上で拡散する人も増えます。また、好奇心から、検索エンジンで「〇〇 まずい」などと、店舗名+ネガティブな言葉で検索する人も増えるでしょう。
悪い口コミはGoogleのローカル検索のランキングにも影響する
Googleの「ローカル検索ランキングを決定する要素」では、以下のように明記されています。
クチコミ数が多く評価の高いビジネスは、ランキングが高くなります。
引用:https://support.google.com/business/answer/7091?hl=ja
これは逆にいうと、悪い口コミが多く、評価の低い店舗や企業は、ランキングが低くなり、検索結果に表示されにくくなってしまう、ということです。検索結果に表示されないと、ユーザーの目に留まる機会もなくなるため、新規顧客獲得のチャンスも必然的に失われてしまいます。
悪い口コミを書かれた時の対処

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具体的な対応策をいくつか紹介します。
軽度の影響なら気にしない
すべての悪い口コミに律儀に対応したり、いちいち気にしたりしてしまうと、通常業務に支障が出る可能性があります。
口コミの数がそれほど多くなく、内容もそれほど深刻なものではない場合は、気にする必要はないでしょう。
世の中のすべての人が満足できるサービスや商品を作るのは容易ではありません。ある程度の悪い口コミは仕方ない、と思える「スルー力」も、大切です。
悪い口コミに返信する【返信例文あり】
こちらに明らかに否があることが明確な口コミの場合は、放置せずにきちんと返信しましょう。このとき重要なのが、以下の3つのポイントです。- 不快な思いをさせてしまったことへの謝罪
- 事実の確認
- 再発防止策・改善案の提示
そのうえで、不快な思いをさせてしまったことに対して、誠意をもって謝罪します。
次に、クレームとなる出来事の事実確認を行い、なぜ起こってしまったのか、理由を明確にします。その後、再発防止策や改善案を提示しましょう。
返信は、口コミを書き込んだ人だけでなく、不特定多数のユーザーが見るものです。丁寧な返信を心がけましょう。
悪い口コミに真摯に対応することで、それを見たほかの人たちに好印象を与え、店舗や企業のイメージアップにつながる可能性もあります。
悪い口コミへの返信文の例返信文は、投稿する前にできるだけ第三者に確認してもらい、感情的な表現や不快な返答になっていないかチェックしてもらいましょう
書き込まれた悪い口コミ
「飲み物と料理を同時に頼んだのに、飲み物だけがすぐに出てきて、料理がなかなか出てこなかった」
それに対する返信文
「このたびは〇〇店にご来店いただき、誠にありがとうございます。また、貴重なご意見もいただき、感謝しております。せっかくご利用いただきましたのに、お客様に不快な思いをさせてしまい、申し訳ございませんでした。
今回は、私どもの指導が至らず、ドリンクや料理を提供するタイミングについて、スタッフに周知できていなかったことが原因で発生いたしました。
今後はスタッフへの指導を徹底するとともに、注文をお受けする際に、ドリンク提供のタイミングをお客様にお伺いすることを徹底いたします。
この度は誠に申し訳ございませんでした。改めてお詫び申し上げます。
□□様のまたのご来店を、スタッフ一同心よりお待ち申し上げます。」
そのサイトに削除申請をする
悪質な口コミや誹謗中傷は、口コミサイトに削除申請をしましょう。Googleプロフィールや口コミサイトでは、ルール違反した口コミは削除できるシステムになっています。具体的には、以下の内容が、削除の対象となります。
- 事実と異なる内容や虚偽の内容
- 差別的な発言
- 侮辱的な発言
- 個人のプライバシーを侵害する発言
- スパムや宣伝目的の書き込み
ただし、削除するかどうかは、サイトの運営者や管理人が判断します。そのため、申請をしても必ず削除されるとは限りません。
弁護士に依頼し法的に削除する
名誉棄損や業務妨害に該当する、と考えられる口コミの削除申請をしても通らなかった場合は、弁護士に依頼して、法的対処をしてもらうのもひとつの方法です。弁護士に依頼すれば、削除依頼の代理請求を行ってもらえるほか、仮処分申立てによる強制的な削除も可能です。
また、悪質な口コミに対しては、発信者情報開示請求、損害賠償請求や刑事告訴の検討なども可能になります。
少し費用は掛かってしまいますが、法的対処を行うことで、スピーディーに解決できる可能性が高まります。
風評被害対策で検索エンジンでのイメージを改善する
店名や企業名で検索したときに、悪い口コミが書かれたサイトが上位に来てしまう、サジェストワードとしてネガティブな単語が表示される、という場合は、風評被害対策が有効です。主な風評被害対策は、以下のふたつです。
- 逆SEO対策:ネガティブな記事や口コミが書かれたサイトが検索結果で上位表示されないように、ポジティブな内容が書かれたサイトの検索結果を押し上げる
- サジェスト汚染対策:検索エンジンに削除申請をしたり、サイト運営者に削除依頼をしてネガティブなサジェストワードが出現しないようにする
悪い口コミを集客に活かす
悪い口コミは、店舗や企業を改善できるヒントにもなります。悪い口コミの内容をもとにサービスや商品をブラッシュアップして、集客につなげることも重要です。ここでは、悪い口コミを集客に活かす方法を紹介します。
改善点を把握しサービス向上につなげる
悪い口コミの内容から、店舗や企業の改善点を見つけ出して、サービス向上につなげましょう。具体的には以下のような事例が挙げられます。美容院悪い口コミをもとにサービスを改善していることをPRすれば、よい印象に繋がり、結果としてブランドイメージの向上も期待できます。
口コミ:静かに過ごしたいのに会話が多すぎて疲れる
対応:予約時に【話す/話さない】を選択できるオプションを導入
飲食店
口コミ:料理の提供が遅い
対応:メニューに提供に掛かる目安時間を記載、並行してスピードメニューの作成
不動産
口コミ:入居したら、上の階の人が夜間騒いでいてうるさいことが判明した
対応:昼間だけでなく、夜の物件見学も検討
Q&Aコンテンツに活用する
悪い口コミが書かれた場合、その内容をもとに、今後どのような不満が生まれるかを検証し、事前にQ&Aなどで回答するのもおすすめです。具体的には以下のようなイメージです。飲食店悪い口コミは、そのほかの不満のヒントにもなります。悪い口コミが書かれたときは、ほかに改善できる点がないかをしっかりチェックするようにしましょう。
口コミ:食券の買い方がわからなかった
対応:支払方法が若干複雑で食券の買い方がわからなかった可能性が高い→HPに支払の手順を解説した動画をアップする
美容院・サロン
口コミ:予約がなかなか取れない
対応:曜日によって混み具合が異なるため、混雑する日に来店したお客から「予約していたのに待たされた」というクレームが来る可能性がある→Q&A Q「予約をしているに待たされるのはなぜですか」 A「混雑具合によって予約をしても待っていただくことがあります」と記載すると同時に、予約の取りやすい曜日・時間を提示する
企業リスクを今すぐ解決!逆SEOとサジェスト対策に特化した実績で、貴社のブランドを守るアクシアカンパニー。過去1200件以上の成功事例と業界トップクラスの成果を誇ります。売上・採用・ブランドを守るための最適解を提供している専門会社です。
まとめ:悪い口コミは「対応の早さ」と「柔軟さ」が必要
悪い口コミは、些細なものから今後の店舗や企業の売上に関わるものまで、内容はさまざまです。悪い口コミすべてに反応するのではなく、対処すべきものとそのままでも問題ないものを見極めましょう。
よい口コミの中に悪い口コミがいくつか混在している方が、かえって信憑性が高まります。そのため、軽微な悪い口コミはスルーしてもかまいません。
ただし、店舗や企業の営業や売上に悪影響を及ぼす深刻なものは、スピーディーに対処しましょう。
また、悪い口コミをサービスや商品の改善に活かすことも大切です。
悪い口コミ全てに拒否反応を起こすのではなく、店舗や企業について見直すきっかけ、と捉えるようにしてください。












