企業にできる誹謗中傷対策とは?裁判事例とおすすめ対策業者も紹介

公開日:2025/12/08
企業にできる誹謗中傷対策とは?裁判事例とおすすめ対策業者も紹介

SNSや口コミサイト、掲示板などでの情報拡散が当たり前になった今、企業に対する誹謗中傷は深刻な社会問題となっています。

誹謗中傷とは、一般に「人の悪口を言ったり、根拠のない内容で人を貶めたりする行為」を広く指しますが、これは法律上の明確な定義を持つ言葉ではありません。

ただし、誹謗中傷の中には「名誉毀損罪」や「侮辱罪」といった法的に処罰対象となり得る行為も含まれます。

たとえば「○○社はブラック企業だ」「△△の社長は詐欺師だ」といった投稿が一度でも広まれば、企業の信用やブランドイメージは一瞬で損なわれかねません。

こうした風評被害は放置すれば採用活動・取引関係・売上など、企業経営に大きな影響を及ぼします。

そのため、企業は「誹謗中傷対策」を単なる炎上後の対応ではなく、リスクマネジメントの一環として事前に仕組み化することが求められています。

本記事では、企業が取り組むべき誹謗中傷対策の基本から、実際に起きた名誉毀損の裁判事例、そして対策を支援するおすすめ業者や費用相場までを詳しく解説します。

具体的な投稿例を挙げながら、企業が今すぐ実践できる現実的な対応策を紹介します。

ネット上の企業への誹謗中傷は増えている

近年、SNSの普及により、誰もが気軽に意見を発信できるようになった一方で、誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー侵害といった投稿が急増しています。

総務省の「令和6年度 インターネット上の違法・有害情報対応 相談業務等請負業務 報告書(概要版)」によると、インターネット違法・有害情報相談センターへの年間相談件数は6,000件を超え、10年前と比べて約2倍に達しています。
中でもSNSや掲示板、口コミサイトなど「拡散性の高い媒体」に関する相談が大半を占めており、特にここ数年はX(旧Twitter)やInstagram、TikTokなどの投稿が問題の中心になっています。
また、相談内容のうち60%以上が「個人または企業の信用を貶める誹謗中傷」に関するものです。

サジェストスクリーンショット

参照:https://www.soumu.go.jp/main_content/001009571.pdf

 

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企業が受ける誹謗中傷の例

企業が受ける誹謗中傷の例企業がネット上で受ける誹謗中傷は、単なる批判や意見の域を超えて「虚偽の情報」「悪意ある噂」「特定個人への攻撃」など、企業活動に直接ダメージを与える内容へと発展しがちです。

ここでは、実際に多く見られる3つのタイプを紹介しながら、それぞれの特徴とリスクを解説します。

商品・サービスに対する根拠のない批判

まず、企業が提供する商品やサービスに対する虚偽の批判です。

たとえば、SNS上で「○○社の食品は腐っていた」や「この会社のアプリは個人情報を抜き取っている」、「あの通販サイトは詐欺サイトだ」といった投稿が拡散されるケースが後を絶ちません。

こうした書き込みは、たとえ投稿者が事実を書き込んだとしても名誉毀損や業務妨害に該当する可能性があります。
特に、写真や動画付きで拡散されると「信憑性が高そう」に見えてしまい、短時間でブランドイメージを大きく損なう結果を招くことがあります。
そして、企業がこうした誤情報を放置した場合、Google検索やSNSのサジェスト機能に「○○社 詐欺」「○○社 最悪」などのネガティブワードが定着してしまうことも少なくありません。

特定の個人への悪口

企業の代表者や従業員など、「人」に向けた誹謗中傷も深刻な問題です。

たとえば、「△△社の社長はセクハラ常習犯らしい」「営業の○○って人、対応が最悪」「○○部長は横領してるって噂」といった投稿が、SNSや口コミサイト、匿名掲示板などで広がるケースがあります。

こうした発言は、明確な証拠がない場合でも「事実のように受け取られる」ため、企業全体の信用を損なうことにつながります。
特に経営者への中傷は、会社のブランドと個人の人格が結びついて見られるため、被害の範囲が広がりやすいのが特徴です。
さらに、内部告発を装った誹謗中傷投稿も増加しており、「元社員だけど、この会社はブラック企業」「上司のパワハラで退職した」といった匿名投稿が真実かどうかにかかわらず拡散され、採用活動や取引先からの信頼に悪影響を及ぼすことがあります。

誹謗中傷の対象が個人であっても、その人が企業を代表している場合には企業名の信用毀損として法的措置を取ることが可能です。

個人情報の晒しによる誹謗中傷の誘発

もうひとつ見逃せないのが、個人情報の晒し(いわゆる「特定」)をきっかけとした誹謗中傷の連鎖です。

たとえば、「○○会社の受付の△△さんはこの人」「□□社の社員の自宅住所はここ」など、SNSや掲示板で個人の名前や顔写真、勤務先、住所といった情報が公開されるケースがあります。

個人情報の晒し自体はプライバシー侵害の問題ですが、晒されたことが引き金となって「○○は不倫してるらしい」「□□は横領してクビになった」などのデマや中傷が飛び交うようになることがあります。

こうした連鎖的な中傷は、一度始まると制御が難しく、対象者の精神的負担だけでなく、企業の評判にも甚大な影響を与えます。
特に、SNSでは「バズ」や「拡散」を狙った投稿が多いため、情報が瞬時に拡がります。
誤情報であっても、一度ネット上に出た情報は完全に消えにくく、検索結果やアーカイブに長期間残り続けるのが現実です。

企業が誹謗中傷を受けやすい場所

企業が誹謗中傷を受けやすい場所企業に対する誹謗中傷が最も多く発生しているのは、近年ではSNS上です。

総務省の「インターネット上の違法・有害情報相談件数の推移」によると、令和6年度の段階でSNS関連の相談が全体の約4割を占めています。

サジェストスクリーンショット

参照:https://www.soumu.go.jp/main_content/001009571.pdf

 

SNSの特徴として、一度投稿された情報は拡散スピードが非常に速く、削除や訂正が追いつかないという問題があります。

特に、インフルエンサーやフォロワーの多いアカウントが悪意なく批判をリポストした場合でも、企業にとっては甚大な評判被害に発展します。

一方で、相談件数としてはSNSほど多くないものの、匿名掲示板や口コミサイト、レビュー投稿サイトなどにも注意が必要です。それぞれ詳しく解説します。

SNS

企業が誹謗中傷を受けやすいSNSの代表例として、X(旧Twitter)が挙げられます。

総務省の報告書でも、SNSに関する相談件数は年々増加しており、中でもX上での投稿は非常に拡散力が高いことが指摘されています。

サジェストスクリーンショット

参照:https://www.soumu.go.jp/main_content/001009571.pdf

 

なぜXで誹謗中傷が多いのかというと、まず140文字程度という短文で手軽に投稿できること、そしてリツイートや引用リツイート、いいねなどの拡散機能が分かりやすく設計されていることが大きな理由です。

匿名やハンドルネームでの発信が一般的であるため、実名を晒さずに攻撃的な内容を投稿しやすく、企業名や商品名、社長名などをタグやメンションで容易に取り上げることができるのも特徴です。
そのため「○○社は詐欺だ」「この会社の社長は責任逃れだ」といった投稿が短時間で拡散し、検索結果やサジェストにも影響を及ぼすリスクがあります。
さらに、いいねやリツイートの連鎖によって、誹謗中傷が次々と引用されることで炎上が発生しやすく、削除してもキャッシュやスクリーンショットに情報が残ることがあります。

掲示板

相談件数ではSNSほど目立たないものの、企業にとって無視できない誹謗中傷の温床として「掲示板サイト」の存在があります。

代表的な掲示板としては、匿名文化が根強い「5ちゃんねる」、地域密着型の口コミが集まりやすい 「爆サイ.com」、ナイトワーク関連の情報が多い 「ホスラブ(ホストラブ)」のほか、業種別に特化した「転職会議 や「カイシャの評判」、不動産関連の「マンションコミュニティ」なども挙げられます。
これらの掲示板では、「この会社はブラック企業だ」「○○支店の対応が最悪」「△△社長はパワハラ気質」といった投稿が日常的に見られ、事実無根の内容であっても検索結果に長期間残り続ける傾向があります。
掲示板の特徴として匿名性が極めて高く、投稿者の特定が困難であること、スレッドが長期間残ることがあるため、検索結果の上位に長く表示されるリスクがあります。

そのため、掲示板はSNSのように即時的な拡散力は弱いものの、「じわじわと検索上位に定着する」タイプの風評被害を生みやすい媒体です。

口コミサイト

口コミサイトも企業にとって誹謗中傷や風評被害のリスクが高い場所です。

飲食業界では、食べログやぐるなびの口コミが代表的で、「この店は衛生管理がずさんだ」「対応が遅すぎる」といった具体的な批判が書き込まれることがあります。

一般企業、特にBtoBやBtoC企業の場合には、転職会議やOpenWork、キャリコネといった社員・元社員による口コミサイトが該当します。
ここでは「この会社はブラック企業だ」「社長の対応が酷い」「残業が多く休暇が取りにくい」といった投稿が見られ、採用活動や取引先の信用に直接影響する可能性があります。
また、サービス業や小売業では、GoogleレビューやAmazonカスタマーレビューなども風評被害の対象になり、「この商品は粗悪品」「問い合わせの対応が最悪」といった書き込みが、購入意欲やブランド評価に影響することがあります。

口コミサイトの特徴として、投稿が感情的で具体的な言葉を使いやすいこと、検索結果で閲覧されやすく採用候補者や取引先、顧客が最初に目にする情報源になりやすいこと、投稿の削除や修正が難しいことが挙げられます。

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企業にできる6つの誹謗中傷対策

企業にできる6つの誹謗中傷対策企業がインターネット上で誹謗中傷に直面した場合、被害を最小化するために具体的な対策を講じることが重要です。ここでは代表的な6つの対策を分かりやすく解説します。

➀ 誹謗中傷の削除請求をする

まず基本となるのが、投稿自体の削除請求です。

方法は大きく二つに分けられます。

一つ目は、投稿が行われたサイトやSNSの運営会社に対して直接削除を依頼する方法です。

多くのSNSや掲示板では、誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー侵害にあたる投稿に関して「利用規約違反」として削除を受け付けています。

削除請求の際には、対象投稿のURLやスクリーンショット、問題となる文言の指摘を添えて運営に申請します。

二つ目は、裁判所に対して仮処分を申し立てる方法です。

これは「投稿が放置されると企業の名誉や信用に重大な影響がある」と判断される場合に有効です。
仮処分は裁判所を通じて投稿の削除を強制する手段であり、運営会社が自主的に削除しない場合でも法的に投稿を消すことが可能です。
特に「○○社は詐欺企業だ」「この店はサービスが最悪」という具体的な誹謗中傷が拡散している場合、迅速な対応が求められます。

➁ 発信者情報開示請求で相手を特定する

誹謗中傷の投稿を削除しても、再び同じ相手から新しい投稿が出る可能性があります。

そのため、誰が投稿したのかを特定する「発信者情報開示請求」が有効です。

これは、サイト運営者やプロバイダに対して、投稿者の情報を教えてもらうための手続きです。

具体的な流れを簡単に説明します。まず、企業は裁判所に「投稿者の情報を開示してください」と申し立てを行います。

裁判所がこれを認めると、運営会社やプロバイダに対してIPアドレスや契約者情報の提供命令が出されます。

IPアドレスとは、インターネット上で個人の端末を識別する番号のようなもので、これを手がかりに投稿者を絞り込みます。

次に、プロバイダから得た情報をもとに、氏名や住所、契約者情報を確認して投稿者を特定します。
初心者でもイメージしやすく言えば、「まず裁判所の力で誰が書いたかの手がかり(IPなど)をもらい、そこから本人を見つける」というステップです。
たとえば、「○○社は詐欺企業だ」と書き込んだ人を特定できれば、その投稿者に対して損害賠償請求や刑事告訴が可能です。

また、発信者が判明することで、投稿の抑止力にもなり、同じ相手からの新たな誹謗中傷を防ぐ効果もあります。

➂ 損害賠償請求する

誹謗中傷によって企業に具体的な被害が発生した場合、損害賠償請求が可能です。
たとえば「○○社は詐欺だ」といった虚偽の投稿によって顧客離れや取引停止が起こった場合、金銭的損害を計算し、投稿者に賠償を求められます。
損害賠償請求は、投稿者の特定が前提となるため、発信者情報開示請求とセットで行うことが多いです。

➃ 刑事告訴する

誹謗中傷の内容が悪質で、企業やその代表者の社会的評価を著しく損なう場合には、刑事告訴を検討することが可能です。

刑法上は「名誉毀損罪」(刑法第230条第1項)や「侮辱罪」(刑法第231条)が該当し、内容や態様によっては懲役刑や罰金刑が科される可能性があります。

たとえば、「社長が横領している」「この会社は架空請求をしている」など、不特定または多数の人が知り得る状態で具体的な事実を示し、発言や投稿によって社会的評価を低下させる性質が認められた場合、名誉毀損罪として「3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金」に処されます。

一方で、具体的な事実を示していなくても「無能だ」「最低な会社だ」など、社会的評価を下げる発言を公然と行った場合には、侮辱罪(刑法231条)が成立する可能性があります。
侮辱罪は2022年の刑法改正により厳罰化されており、現在は「1年以下の懲役または禁錮、もしくは30万円以下の罰金」が科される可能性があります。
SNSや掲示板上の誹謗中傷は「公然性」が認められやすいため、匿名投稿であっても発信者情報開示請求を経て刑事告訴に至るケースも少なくありません。

➄ 逆SEO対策で検索結果への露出を減らす

誹謗中傷は投稿サイト内だけでなく、検索結果にも悪影響を及ぼします。

「○○社 詐欺」などのネガティブな投稿が検索上位に表示されると、顧客や取引先が最初に目にする情報が誹謗中傷になってしまい、第一印象の段階で信頼を失うリスクが生じます。

一度ネット上に出回ったネガティブ情報は、時間の経過とともに自動的に消えるものではありません。

むしろ、閲覧数が増えることで検索エンジンのアルゴリズムに「関連性が高い情報」と判断され、結果として長期間にわたり上位表示され続けるケースが多く見られます。

このような状態を放置すれば、採用活動への悪影響や新規顧客の離反、さらには取引先からの信頼低下にも直結しかねません。
逆SEO対策では、プレスリリースや公式サイト、ポジティブな記事やSNS投稿を強化して、ネガティブ投稿より上位に表示されるよう調整します。
結果的に、誹謗中傷の露出を減らし、企業イメージへの悪影響を抑えることが可能です。

➅ サジェスト対策で定着した悪い噂を消す

GoogleやYahoo!などの検索エンジンでは、ユーザーが検索ボックスに企業名を入力すると、自動的に関連するキーワードが候補として表示されます。

これが「サジェスト(検索候補)」です。

サジェスト自体は単なる機能であり、誹謗中傷を目的としたものではありません。

しかし、過去に拡散された悪質な投稿や噂話がネット上に残っていると、それらの内容をもとにしたネガティブなキーワードが自動的にサジェストに反映されてしまうことがあります。

たとえば、「○○社 詐欺」「△△社長 横領」「□□会社 ブラック」「株式会社×× パワハラ」といった言葉が候補として表示されると、企業の実態を知らない第三者にまで誤った印象を与えてしまいます。

こうした「サジェスト汚染」を解消するために行われるのが、サジェスト対策です。
サジェスト対策では、悪い噂や誤情報が検索候補に出にくくなるよう、関連するポジティブな情報を増やし、ネガティブワードを押し下げるための施策を講じます。
これらの施策を組み合わせることで、ネガティブなサジェストを徐々に押し下げ、企業に関する検索候補をポジティブな方向へ転換させていきます。

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企業が誹謗中傷を受けた場合の悪影響

企業が誹謗中傷を受けた場合の悪影響企業がインターネット上で誹謗中傷を受けると、さまざまな面で深刻な影響が生じます。具体的な事例や投稿例を交えて、どのようなリスクがあるかを解説します。

ブランドイメージの崩壊

たとえば「○○社は詐欺企業だ」「この会社のサービスは全く信用できない」といった根拠のない投稿が広まると、企業のブランドイメージは大きく傷つきます。 

顧客や取引先が初めて企業名や商品名を目にした際、こうしたネガティブな印象が先行してしまい、信頼感の低下につながります。

特にSNSや口コミサイトでは短期間で多くの人に拡散されるため、悪い印象が瞬時に定着してしまうのが特徴です。

デマによる風評被害

「社長は横領している」「この店の食材は使い回しだ」といった事実無根のデマ投稿は、企業の信用を直接損ないます。 

風評被害は単発の投稿だけでなく、転載や引用を通じて広がりやすく、被害規模が拡大する傾向があります。

たとえ実際には事実でなくても、顧客や取引先が情報を目にするだけで不信感を抱き、取引停止や売上減少につながることがあります。

従業員のモチベーションダウン

「この会社の社員は仕事ができない」「社長はセクハラ社長だ」といった投稿が社内外で話題になると、従業員の士気も低下します。

特に社名や社長名が具体的に挙げられる場合、社員は自分の働く企業に誇りを持てず、日々の業務への集中力が低下することがあります。

長期的には離職率の上昇や採用活動への影響にもつながるため、社内への心理的影響は無視できません。

求人応募者が減る

ネット上で「この会社はブラック企業だ」「社員が不満を言っている」といった口コミや投稿が拡散されると、求人応募者にも悪影響を及ぼします。

優秀な人材ほど、インターネットで企業情報を事前に調べる傾向があるため、ネガティブ情報を目にした段階で応募をためらうケースが増えます。

結果として、採用力の低下や人材不足を招くリスクがあります。

「社名」検索時のイメージが悪くなる

「○○社 詐欺」「△△社 横領」「社長名+不祥事」といった誹謗中傷投稿は、検索エンジンで企業名を検索した際に上位に表示されることがあります。

この状態が続くと、新規顧客や取引先が最初に目にする情報がネガティブなものとなり、企業の信用低下や営業機会の損失につながります。

こうした現象は、誹謗中傷がネット上で定着した結果として生じるため、企業にとって長期的なリスク要因になります。

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誹謗中傷で裁判になった事例

誹謗中傷が裁判沙汰になるケースは増加しており、企業や個人の名誉や信用を守るために法的手段が取られることが一般的です。

以下に、実際に裁判に至った事例をいくつか紹介します。

個人への誹謗中傷が裁判になった事例

本件は市長が週刊誌出版社を訴えたケースです。

原告である茨城県守谷市の市長は、週刊誌出版社が運営するニュースサイト「FRIDAYデジタル」に掲載した記事「茨城守谷市長の『黒すぎる市政』に地方自治法違反疑惑」との見出しによって、名誉を傷つけられたとして損害賠償を請求しました。

被告側である出版社は「公共の利害に関する内容を公益目的で報じたものであり、取材に基づいた正当な報道だ」と主張しましたが、裁判所は記事の内容が真実であると認めるに足る十分な証拠がないと判断しました。

その結果、出版社に対して165万円の賠償を命じる判決が下されています。

商品・サービスの悪評で裁判になった事例

本件は、「2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)」で発生した動物病院に関する民事裁判のケースです。

匿名の投稿者が「過剰診療」「誤診」「詐欺」「知ったかぶり」といった根拠のない発言や、「動物実験をやめてほしい」とする書き込みを行いました。

これにより病院の評判が損なわれたとして、病院側は掲示板の管理者に対し投稿の削除を求めましたが、サイト側の対応が進まず、最終的に裁判での削除請求と損害賠償を提起することになります。

東京地方裁判所の第1審では、誹謗中傷による名誉毀損を認め、掲示板管理者に対して投稿の削除および約400万円の損害賠償の支払いを命じました。

これに対し、管理者側が控訴しましたが、東京高等裁判所でも原告の主張が支持され、控訴は棄却されます。

最終的に最高裁も上告を受理せず、病院側の勝訴が確定しました。

この裁判は、匿名掲示板上の誹謗中傷に対し、サイト運営者にも一定の責任が問われることを明確にした事例として知られています。

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労働環境へのデマが裁判に至った事例

本件は、元従業員が転職情報サイト「転職会議」に投稿した内容によって、勤務先企業の名誉が傷つけられたとして、企業側が損害賠償を求めた裁判です。

投稿では、「朝家を出た時や帰宅時に社長へ報告しなければならない」や「夜中にも電話がかかってくる」といった記述があり、企業の労働環境を過度に干渉的で異常なものとして描写していました。

裁判所は、この投稿が「会社が従業員に対し、頻繁かつ執拗に連絡を取る」との印象を与えるもので、社会的評価を低下させると判断しました。

一方で、投稿者が主張する内容を裏付ける客観的な証拠(通話記録やメール履歴)はなく、真実性の立証もできなかったため、名誉毀損が成立するとされました。

この判決は、口コミサイトでの「体験談風の投稿」であっても、根拠のない内容で企業の信用を損なう場合は、名誉毀損として法的責任を問われる可能性があることを示した重要な事例です。

企業の誹謗中傷対策は業者に外注できる

企業の誹謗中傷対策は業者に外注できる企業が誹謗中傷被害を受けた場合、自社だけで対応するのは困難です。

削除申請や法的手続き、検索結果の修正など、専門知識とスピードが求められるため、多くの企業は専門業者に外注しています。

ここでは、外注するメリット・デメリット、費用相場、業者選びのポイントを具体的に解説します。

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外注するメリット・デメリット

誹謗中傷対策を業者に依頼する最大の利点は、「専門性」と「スピード」にあります。

一方で、外注にはコストや信頼性の問題もあります。

費用が高額になる場合や、悪質な業者によるトラブルの可能性もあるため、慎重な選定が必要です。

メリット・デメリットを分かりやすくまとめると以下の通りです。
メリット
  • 専門的な対応ができる:誹謗中傷対策業者は、各媒体に合わせた削除ノウハウを持っています。個人では難しい削除申請や法的手続きもスムーズに進められます
  • スピーディーな対応が可能:誹謗中傷の拡散は時間との勝負です。業者は通報・申請のテンプレートや連絡ルートを持っているため、初動が早く、被害の拡大を防げます
  • 社内のリソースを守れる:誹謗中傷対応には調査・報告・記録・削除依頼など多くの作業が発生します。専門業者に委託すれば、広報担当者や法務部門が本来の業務に専念できます
デメリット
  • 費用がかかる:内容や手続きの種類によっては高額になる場合があります。特に法的対応を伴うケースでは、弁護士費用が加算されます
  • 悪質業者も存在する:中には悪質業者もあります。実績や口コミの確認が必須です
  • 完全な削除が保証されない:削除が難しい場合もあるので、その際は「逆SEO」など別の方法で対処する必要があります

誹謗中傷対策業者の費用相場

誹謗中傷対策にかかる費用は、目的や対応手法によって大きく異なります。

SNSや掲示板の投稿削除から法的措置、逆SEO対策まで、内容に応じて専門業者や弁護士への依頼が必要になるケースもあります。以下は一般的な費用の目安です。
対策内容概要費用相場(目安)
投稿削除依頼掲示板・SNS・口コミサイトなどへの削除申請代行1件あたり3万〜10万円
仮処分申立て(弁護士対応)削除が認められない投稿に対し、裁判所に削除命令を申立てる20万〜50万円程度(+弁護士費用)
損害賠償請求(法的措置)投稿者を特定し、慰謝料を請求する/td>30万〜100万円以上(訴訟費用含む)
発信者情報開示請求匿名投稿者の氏名・住所・IP情報を特定30万〜100万円以上(弁護士依頼必須)
逆SEO対策ネガティブ記事を検索結果で下げる(ポジティブ情報を上位に表示)月額10万〜50万円(継続契約が多い)
弁護士に依頼する場合は、事務所によって着手金や成功報酬の有無、サポート範囲が異なります。

依頼前に見積もりや対応内容をしっかり確認しておくことが大切です。

業者選びのポイント

誹謗中傷対策を外注する際は、以下の3点を必ず確認しましょう。
  • 実績があるか過去の削除成功事例や対応サイト数を確認しましょう。特に、Google、5ちゃんねる、Twitter(X)、口コミサイトなど主要媒体での実績がある業者が信頼性が高いといえます。実績がない業者に依頼すると、削除できずに費用だけ発生するケースもあるため注意が必要です。
  • 弁護士がいるか(法的対策を取る場合)仮処分や損害賠償請求、発信者情報開示請求など、法的措置を伴う場合は弁護士の関与が必須です。弁護士が在籍していないのに法的業務を行う業者は「非弁行為」となり、違法の可能性があります。依頼前に必ず確認しましょう。
  • どんな対策をしてくれるか業者によって「削除特化型」「逆SEO特化型」「法的対応型」など、得意分野が異なります。目的が「削除」なのか「拡散防止」なのか「犯人特定」なのかを明確にし、最適な業者を選ぶことが重要です。

企業の誹謗中傷対策のおすすめ業者5選

以下では、法律事務所や風評被害対策専門会社など5社を紹介します。

是非、参考にしてください。

ベリーベスト法律事務所

ベリーベスト法律事務所ベリーベスト法律事務所は、誹謗中傷・風評被害に特化した弁護士チームと、IT/SEO技術を持つエンジニアが連携して対応する法律事務所です。

投稿削除、発信者情報開示、損害賠償請求など「法的手段を含む」対策をワンストップで依頼できます。
業者名ベリーベスト法律事務所
誹謗中傷対策サービス投稿削除/発信者情報開示請求/損害賠償請求
費用削除請求:着手33,000円〜
仮処分申し立て:33万円(税込)等
実績顧問契約2,000社以上(誹謗中傷・風評対策チーム)
主な特徴・弁護士×ITエンジニア体制。法的・技術的両面から対応可能
・英語・中国語対応可能
・各マスメディア対応・サポートも可能
URLhttps://corporate.vbest.jp/
弁護士もいることから法的手続きが必要であるような専門性の高い案件でも安心です。

また、英語・中国語での対応も可能なので、日本以外のサービス上にある削除請求にも対応可能です。

アクシアカンパニー

アクシアカンパニーアクシアカンパニーは、ネット上の誹謗中傷・風評被害を「検索結果」や「サジェスト」から改善する逆SEO対策に強みを持つ専門業者です。

ネガティブな検索ワードを非表示化したり、ポジティブな情報を上位に表示させることで、企業のブランドイメージを回復・保護します。
業者名アクシアカンパニー
誹謗中傷対策サービス逆SEO/サジェスト対策/SEO対策/MEO対策/ホームページ制作
費用逆SEO対策:(個人名)月額5万円~(税抜)、(法人名)月額10万円~(税抜)等
実績・逆SEO対策成功率85%
・サジェスト対策成功率99%
主な特徴・逆SEO対策・サジェスト対策を重点的に行う
・再発防止も含めた包括的な施策を提案してくれる
URLhttps://axia-company.co.jp/
アクシアカンパニーは誹謗中傷投稿を削除するだけでなく、Google検索におけるユーザー行動の導線を分析し、悪評を目立たなくさせながら、企業の「信頼性」「ブランド力」を自然に回復させる戦略を得意としています。

さらに、アクシアカンパニーでは「一時的な火消し」ではなく、再発防止までを見据えた長期的ブランディング型対策を重視しています。

誹謗中傷の根本原因となる情報源の特定、モニタリング体制の構築、SNS上の風評リスク検知など、予防的なサポートも一貫して提供可能です。

誹謗中傷対策センター(ネクストリンク)

誹謗中傷対策センター(ネクストリンク)ネクストリンクが運営する「誹謗中傷対策センター」は、企業・個人の被害を総合的に支援する国内大手の専門会社です。

口コミ削除、SNS・掲示板対応、逆SEO、監視システムによるリスク検知など、ネット上のあらゆるトラブルに対応します。
業者名誹謗中傷対策センター(ネクストリンク)
誹謗中傷対策サービス投稿削除/逆SEO/SNS監視/サジェスト対策
費用月額55,000~(税込)
実績・解決率97%
・サービス開始10年、対応数4万件以上
主な特徴・最短即日対応のスピード感重視
・多方面からの支援が可能
URLhttps://www.kesu.jp/
特に、投稿削除のスピードと実績に定評があり、各方面の専門家とも連携したサポートを提供しています。

さらに、相談から見積りまで無料で行える点も企業にとって利用しやすいポイントです。

ネット風評対策本舗(リンクス)

ネット風評対策本舗(リンクス)株式会社リンクスが運営する「ネット風評対策本舗」は、創業12年以上の実績を誇る老舗の風評被害対策会社です。

掲示板、SNS、口コミサイトなど、あらゆるネット媒体の誹謗中傷投稿を対象に、削除・非表示化・逆SEO対策を行っています。
業者名ネット風評対策本舗(リンクス)
誹謗中傷対策サービス掲示板・SNS削除/逆SEO/サジェスト改善
費用法人向け総合対策プラン:(難易度低)月額5万円~、(難易度中)月額10万円~等
実績解決実績3,000件超
主な特徴・成果報酬型
・幅広い媒体に対応
・豪快最安値に挑戦
URLhttps://rinkus.jp/
成果報酬型プランを採用しており、「効果が出なければ費用が発生しない」という明確な料金体系が安心です。

特に、匿名掲示板の削除やサジェスト汚染対策の実績が豊富で、個人事業主から大企業まで幅広く利用されています。

アークレスト法律事務所

アークレスト法律事務所アークレスト法律事務所は、誹謗中傷・風評被害の分野において高い専門性を持つ弁護士事務所です。

投稿削除請求、発信者情報開示請求、損害賠償請求など、法的手続きを通じて根本解決を目指します。
業者名アークレスト法律事務所
誹謗中傷対策サービス削除請求/発信者特定/損害賠償請求/訴訟
費用削除請求:55,000(税込)~、開示請求:66,000円(税込)~等
実績風評対策10年以上
主な特徴・法律の専門家による直接対応
・着手金0円~
・成功報酬制
URLhttps://arch-crest.com/lp10/
アークレスト法律事務所は、掲示板・SNS・Googleレビューなど、削除が難しい媒体にも対応できる技術的なノウハウを持つ点が強みです。

企業の信用回復や、投稿者特定まで進めたいケースにおすすめです。

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企業の誹謗中傷対策でよくある質問(Q&A)

インターネット上での発言が名誉毀損にあたるかどうかは、事実の有無・表現の仕方・社会的評価への影響などによって判断されます。

特に、「断定的に悪事や不正を決めつける言葉」「企業や個人の評判を著しく下げる発言」は、法律上の責任を問われる可能性があります。

一方で、個人の感想や経験に基づく意見表現は、名誉毀損には当たらないケースが多いです。

以下の表で、具体的な違いを確認してみましょう。
  • Qどんな言葉が誹謗中傷で名誉棄損となる?
    A誹謗中傷と意見表明の境界はあいまいですが、「事実を断定するかどうか」が大きな判断基準です。
    名誉毀損になる言葉名誉毀損にならない言葉
    ・「この会社は詐欺をしている」
    ・「〇〇社の社長は横領した」
    ・「この飲食店は食中毒を出した」
    ・「ここのクリニックはヤブ医者ばかり」
    ・「〇〇社はブラック企業だ。残業代も出ない」
    ・「この商品は全部偽物だ」
    ・「ここのスタッフは全員無能」
    ・「料金体系がわかりづらかった」
    ・「経営に不透明な点があると感じた」
    ・「食べた料理が自分には合わなかった」
    ・「診察が少し雑に感じた」
    ・「勤務時間が長くて大変だった」
    ・「品質が期待より劣っていた」
    ・「対応が遅かった印象」
    名誉棄損になるかどうかのポイントは信用・評判を著しく損ねる表現かどうかということです。

    犯罪行為や不正行為を断定している表現は、名誉毀損や業務妨害に該当する可能性が高いでしょう。

    一方で、たとえば「〜と感じた」「〜と思った」など主観を明確にしていたり、自身の体験に基づく事実の範囲内で意見を述べていたりするなら正当なレビューとして扱われる可能性が高いです。

  • Q誹謗中傷と批判の違いは何?
    A名誉毀損を例に考えると、その違いは「事実の有無」と「公益性・目的」にあります。

    刑法第230条では、名誉毀損罪を「公然と事実を摘示し、人の社会的評価を低下させる行為」と定義しています。

    つまり、根拠のない悪口や事実を歪めた発言によって他人の評判を下げると、誹謗中傷にあたる可能性があるのです。

    一方、同法第230条の2では、公共の利害に関する事実を、公益目的で、かつ真実であると証明できる場合には、名誉毀損にはならないと定められています。これが「正当な批判」にあたります。

  • Q誹謗中傷の対処が分からない時の相談先は?
    A誹謗中傷を受けた際、どこに相談すれば良いか迷うことがあります。以下に主な相談先をいくつか挙げます。
    相談先内容問い合わせ先
    警察庁「サイバー事案に関する相談窓口」・インターネット・SNS上の誹謗中傷
    ・サイバー犯罪の相談・通報を受け付けている
    ・被害の可能性がある投稿や脅迫
    ・悪質な書き込みなどを警察が把握できるように連絡できる
    https://www.npa.go.jp/bureau/cyber/soudan.html
    警視庁「総合相談センター」・幅広い相談窓口で、サイバー関連の相談も対象
    ・専門部署へ転送・案内してもらえるため、まず相談先に迷った時には有効
    電話:#9110 または 03-3501-0110(東京都)
    https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/sodan/madoguchi/sogo.html
    法務省「人権相談窓口」・誹謗中傷が「人権侵害」にあたると判断されるケース(例えば個人情報の無断掲載など)について相談可能
    ・内容別に法的・行政的な対応について助言を受けることが可能
    電話:0570₋003₋110
    https://www.moj.go.jp/JINKEN/index_soudan.html
    一般社団法人セーファーインターネット協会「誹謗中傷ホットライン」・ネット上の誹謗中傷・嫌がらせ投稿の相談・削除支援を行っており、法律的な措置に繋げることも可能
    ・警察や法務省と連携
    電話:0570-003-110(平日8:30〜17:15)
    ネット上での相談窓口(パソコンから):http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken113.htmlHP:https://www.saferinternet.or.jp/bullying/
    これらの相談先は、それぞれ役割が少しずつ異なりますので、まずは内容を整理して「どこに相談すれば最も適切か」を判断することが肝要です。

まとめ:企業の誹謗中傷対策は専門業者に依頼して確実性を高める

インターネット上の誹謗中傷は、企業の信用やブランドイメージ、売上や採用活動に長期的な影響を与えるリスクがあります。

こうしたリスクを最小限に抑えるためには、専門知識を持つ業者への依頼が有効です。

専門業者は、投稿削除依頼、逆SEOによる検索順位対策、SNSの炎上防止など、多角的な手法を駆使して対応します。

また、法令遵守のもとで迅速かつ体系的にネガティブ情報を分析・対策できる点も大きな強みです。

自社だけでの対応には限界があるため、被害が拡大する前に早期に専門業者へ相談することが重要です。

企業の信頼回復とリスクマネジメントの観点から、誹謗中傷対策は専門業者の力を借りて確実性を高めることが現代の必須対応といえるでしょう。

風評被害対策会社比較表

イメージ引用元:https://axia-company.co.jp/引用元:https://zeal-c.jp/引用元:https://www.siemple.co.jp/引用元:https://www.roadmap.co.jp/引用元:https://solution.brandcloud.co.jp/引用元:https://net-fuhyohigai-taisaku.co.jp/引用元:https://blitz-marketing.co.jp/
会社名アクシアカンパニージールコミュニケーションズシエンプレロードマップブランドクラウドネット風評被害対策BLITZ Marketing
企業概要逆SEOとサジェスト対策に特化し、業界トップクラスの成功率を実現する実力派企業。デジタルリスク対策の専門企業として15年以上の実績、豊富な危機対応力で高く評価デジタル・クライシス対策のパイオニアとして一貫して支援できる点が強み自社一貫対応で誹謗中傷・炎上・サイバーリスクにワンストップ対応20年以上のノウハウに基づき、多くの企業支援(具体件数・企業名は非公開)10年以上の豊富な実績と、独自開発AIを活用した24時間365日体制をしているSEO、広告、レピュテーション対策をワンストップで提供。
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