誹謗中傷対策は個人でできる？削除・証拠保存・相談先を詳しく解説

インターネットやSNSの普及により、誹謗中傷の被害は誰にでも起こり得る身近な問題となっています。

精神的ダメージだけでなく、仕事や人間関係への影響、さらには法的リスクに発展するケースも少なくありません。

この記事では、誹謗中傷が罪にあたる基準や実際の削除依頼の方法、証拠保全のポイント、相談窓口、さらには弁護士や専門業者への依頼まで、個人でできる実践的な対策をわかりやすく解説します。

誹謗中傷はどこから罪になる？罪にならない？

誹謗中傷は、名誉毀損や侮辱に該当すると罪になります。一方で、正当な意見や事実の指摘にとどまる場合は罪にあたりません。

誹謗中傷が罪になる場合

誹謗中傷が罪にあたるのは、刑法で定められた犯罪に該当する場合です
ネット上の発言でも相手の権利を侵害すれば法的責任を負う可能性が高いでしょう。

誹謗中傷が罪にならない場合

誹謗中傷は必ずしも罪に問われるわけではありません。単なる感想や意見にとどまる発言は、名誉毀損や侮辱に該当しない場合があります。

たとえば「この店の料理は口に合わなかった」「作家Xの作品は自分には退屈だった」といった表現は、あくまで主観的評価であり、法的責任を問われる可能性は低いでしょう。

社会では商品や作品に対して賛否両論の意見が寄せられるのが当然です。

ただし「料理に異物が入っていた」「作品は盗作だ」といった虚偽の内容は、名誉を不当に傷つけるため罪に発展する恐れがあります。

したがって、批判と虚偽は明確に区別しなければなりません。

誹謗中傷にあたる言葉一覧

誹謗中傷にあたる言葉は、日常的に使われがちな表現でも法的に問題となる場合があります。

相手の容姿や能力を侮辱する発言や、事実無根の情報を広める行為は誹謗中傷に該当します。

こうした言葉が相手の名誉や信用を損ない、社会的評価を低下させるからです。実際にどのような言葉が対象になるのか、以下に整理しました。

抽象的な悪口	バカ、クズ、ゴミ	事実を伴わなくても侮辱に該当
容姿や身体的特徴	ブス、デブ、ハゲ	外見を嘲笑する発言は処罰対象になることも
能力の否定	間抜け、新人以下	知能や仕事の能力を貶める発言
名誉を傷つける虚偽	不倫している、万引きした	根拠のない事実の摘示は名誉毀損罪にあたる
企業への攻撃	ブラック企業、料理が不衛生	根拠のない評価や噂は業務妨害に発展する場合あり

何気ない言葉でも誹謗中傷に当たる可能性があるため、発言には細心の注意が必要です。

個人でできる誹謗中傷対策【実践編】

個人でできる誹謗中傷対策には、SNSや掲示板への削除依頼、投稿者への直接要請、相談窓口の活用があります。被害拡大を防ぐため早めの行動が大切です。

SNSや掲示板への削除依頼を出す

誹謗中傷を受けたときは、まずSNSや掲示板の運営に削除依頼を出すことが有効です。
ヘルプセンターやサイトの最下部にある「お問い合わせ」や「サポート」などのリンクから申請フォームを探せます。

その際には、どの権利を侵害しているか、利用規約のどの部分に違反しているかを明確に示すことが重要です。

理由を丁寧に説明すれば、削除が認められる可能性は高まります。

誹謗中傷の放置は被害拡大につながるため、早い段階で削除依頼を行うことが解決への第一歩になります。

投稿者へ直接削除依頼をする

投稿者に直接削除依頼をする方法は、迅速に被害を減らせる可能性があるため有効です。
ただし、直接連絡を取る際には慎重さが求められます。

DMやメールを利用する場合、削除依頼の理由を規約違反や法的根拠に基づいて冷静に伝えることが重要です。

感情的な表現を避け、事実を簡潔に示すことで相手も対応しやすくなります。

実際に依頼する前に、書き込みが削除対象に当たるか確認しておくと安心です。

しかし、相手が応じない可能性や新たなトラブルに発展するリスクもあります。

そのため、削除依頼と並行して証拠を保存し、必要に応じて専門家へ相談する体制を整えておくことが賢明です

相談窓口や無料のサポート機関を活用する

誹謗中傷に悩んだときは、無料の相談窓口を利用することがおすすめです。専門機関に相談すれば正しい対処法が知れるため、早期に解決へと進められます。

人権侵害に関する具体的な助言が受けたい場合	・みんなの人権110番 ・女性の人権ホットライン
削除依頼のサポートや関係機関への通知がしたい場合	・違法・有害情報相談センター ・誹謗中傷ホットライン
脅迫やストーカー被害のように犯罪性が高い場合	・警察のサイバー犯罪相談窓口（#9110）

相談窓口を活用すれば、一人で抱え込まずに専門的な支援を受けられます。安心して対策を進めるためにも、相談先を把握しておくことが大切です。

個人でできる誹謗中傷対策【準備編】

個人で誹謗中傷に対応するには、まず証拠の確保や整理、客観性の強化、発信者特定、そして法的手続きの基本を理解する準備が重要です。

証拠を確保する

誹謗中傷に対処する際、まずは証拠を確保しましょう。
投稿内容、投稿日時、投稿者のアカウント情報、URLが確認できる画面をスクリーンショットやPDFで保存します。

さらに、プラットフォームの通報機能を使って削除依頼を試み、対応がない場合は弁護士に相談することも重要です。
こうした準備を怠らずに行うことで、誹謗中傷への迅速かつ確実な対応が可能になります。

客観的な証拠を強化する

誹謗中傷に対処する際、客観的な証拠を強化することが重要です。
電子データにタイムスタンプを付与しましょう。

第三者機関である時刻認証局が発行するタイムスタンプにより、「特定の時刻にその内容が存在していた」ことと「その後改ざんされていない」ことを証明できます。

また、電子データだけでなく、スクリーンショットを印刷して紙で保管することも有効です。

裁判や弁護士相談時に、相手から「証拠が加工されたのではないか」という反論を防げます。

タイムスタンプは有料サービスもありますが、証拠の信頼性を確保するうえで非常に役立つ手段です。

発信者特定のために情報を整理する

誹謗中傷に対応するには、発信者特定のための情報整理が欠かせません。発信者情報開示請求をスムーズに行うためには、事前に状況を整理しておくことが重要です。

投稿者名やアカウント情報、可能であればIPアドレスなど、発信者を特定する手がかりを確認・記録します。
請求には、請求相手が開示関係役務提供者であること、自己の権利侵害が明らかであること、正当な理由があることなどの要件を満たす必要があります。

事前に情報を整理しておくことで、法的手続きがスムーズになり、迅速な対応が可能です。

法的根拠と手続きの概要を把握する

誹謗中傷への対策を個人で進めるには、法的根拠と手続きの概要を理解しておくことが重要です。
また、発信者情報開示請求を活用すれば、匿名投稿者を特定可能です。

さらに、内容証明郵便による削除要求や訴訟手続きの基本的な流れを把握しておくと、トラブル発生時に慌てずに行動できます。

事前にこれらの法制度や手順を押さえておくと、削除依頼や法的手続きの際にスムーズかつ適切に対応でき、被害拡大の防止にもつながります。

準備を整えると、冷静かつ計画的に誹謗中傷への対応が可能です。

個人でできる誹謗中傷対策の方法【予防編】

個人で誹謗中傷を防ぐには、事前の対策が重要です。SNS機能や情報管理を駆使し、被害をなくすためにできる工夫を実践しましょう。

SNSのブロック・ミュート・通報機能を活用する

SNSで誹謗中傷を防ぐには、まずブロックやミュート機能を活用して相手との接触を断つことが重要です。
これにより心理的負担を軽減し、冷静に対応できる環境を整えられます。さらに、各SNSの通報機能を使って、人権侵害や規約違反の投稿を運営側に削除依頼することも効果的です。

申請の際は投稿URLや日時、投稿内容などを正確に記録しておくとスムーズです。

これらの自衛手段で改善されない場合や違法性が高いケースでは、総務省や法務省の相談窓口、専門機関への相談を検討すると、より確実に被害を防げます。

SNS上の誹謗中傷に対して、日常的にできる予防策として非常に有効な方法といえます。

個人情報やプライバシー情報の投稿を控える

ネット上での誹謗中傷を防ぐためには、個人情報やプライバシー情報の投稿を控えることが基本です。
さらに、複数のサイトやSNSに同じ情報を掲載すると、情報がつながりやすくなり、本人を特定される可能性が高まります。

そのため、プロフィールや投稿内容には個人を特定できる情報を含めないことが重要です。

また、写真や位置情報の公開にも注意し、必要に応じて非公開設定や制限を活用すると安全性が向上します。

個人情報の管理を徹底すると、ターゲットにされるリスクを大幅に減らせるため、安心してネットを利用できる環境を作れます。

日常的な情報管理は、誹謗中傷を未然に防ぐ有効な予防策です。

感情的・挑発的な投稿を避ける

ネット上での誹謗中傷やトラブルを防ぐためには、感情的・挑発的な投稿を避けることが重要です。
投稿前に文章を一度冷静に読み返し、感情的な表現や攻撃的な言葉を修正する習慣をつけましょう。

また、疑問や意見を述べる場合も、事実に基づき客観的な表現に置き換えることでトラブルを避けられます。

さらに、即時投稿ではなく時間を置くことで感情を整理し、冷静な判断が可能になります。

こうした投稿の習慣化によって、他者を刺激するリスクを減らし、ネット上での安全なコミュニケーション環境を維持できるでしょう。

誤情報・根拠のない噂を拡散しない

誤情報や根拠のない噂を拡散することは、意図せず誹謗中傷の加害者になってしまうリスクがあります。

そのため、SNSや掲示板に投稿する前には、情報の真偽を必ず確認することが重要です。
投稿前に内容を慎重に見直し、事実に基づかない情報は発信しない習慣を身につけましょう。

もし誤った情報を投稿してしまった場合は、速やかに訂正や削除を行い、デマの拡散を防ぐ対応をとることが大切です。

こうした注意を日常的に意識すると、自らが加害側に回るリスクを減らし、ネット上での安全なコミュニケーションを維持できます。

検索結果やSNS風評を監視し早期発見する

自分に関するネガティブな投稿や誹謗中傷は、放置すると被害が拡大する可能性があります。

そのため、日頃から検索エンジンやSNSで自分の名前や関連キーワードを定期的にチェックし、問題となる投稿を早期に発見することが重要です。

たとえば、Googleアラートを設定しておけば、自分の名前が含まれる新しい記事や投稿を自動で通知してもらえます。
監視を習慣化すると、誹謗中傷の被害を最小限に抑え、心理的負担も軽減できるでしょう。積極的に情報を把握することが、予防策の第一歩となります。

ポジティブな情報発信で検索結果をコントロールする

ネガティブな情報が検索結果に目立つと、誹謗中傷の影響が大きくなります。そこで、ポジティブな情報を意識的に発信することが有効です。
こうした情報は検索エンジンに反映され、ネガティブな投稿よりも上位に表示されやすくなります。

その結果、誹謗中傷や風評が目立ちにくくなり、心理的負担も軽減されます。

さらに、信頼性のあるポジティブ情報を積み重ねると、第三者からの印象も向上し、万が一誹謗中傷があった場合でも、対策として有効です。

個人で誹謗中傷対策をするメリット

個人で誹謗中傷対策を行うと、費用を抑えつつ自分のペースで対応でき、被害の拡大を防ぐ初期対応も迅速に実施可能です。まずはできることから始めましょう。

費用を抑えてまずはできることから始められる

誹謗中傷への対応は、弁護士や専門業者に依頼する前に、自分でできる範囲から始めることで費用を抑えられます。
専門家に依頼する前でも証拠の確保や投稿の削除申請といった基本的な対応が可能となります。

また、自分で行うことで対応の進行状況を把握しやすく、必要に応じて専門家への相談タイミングも判断できます。

まずは低コストで手元の手段を活用することが、被害の早期対策としても有効です。

自分のペースで行動ができる

誹謗中傷への対策を自分で行うメリットは、自分のペースで行動できる点です。
たとえば、最初は投稿を非表示にするだけに留め、心の余裕ができた段階で削除依頼や証拠保存に進むといった段階的な対応が可能です。

これにより、感情が高ぶっている状況でも冷静に行動でき、他人に知られたくない場合でも自分のタイミングで対応を開始できます。

自分の状況に合わせて柔軟に進められることは、長期的な対策においても安心感をもたらします。

被害の拡大を防ぐ初期対応がすぐにできる

誹謗中傷対策を個人で行うメリットは、被害の拡大を防ぐ初期対応を迅速に実施できる点です。

投稿が拡散される前に、スクリーンショットで証拠を残しつつ、通報や削除依頼を即座に行うことが可能です。

スピード感のある対応により、事態の悪化を防ぎ、被害を最小限に抑えられます。

専門家に依頼する前でも、早期に対応することで精神的負担の軽減にもつながるでしょう。
被害を広げないためにも、個人での迅速な対応は有効です。

誹謗中傷対策は専門業者に依頼するのがおすすめ。その理由は？

誹謗中傷対策は、専門業者に依頼することで迅速かつ適切な対応が可能になり、再発防止や法的措置も含めたサポートを受けられます。本業に集中しながら安全に対策できます。

迅速かつ適切な対応が可能になる

誹謗中傷の被害を最小限に抑えるためには、迅速な対応が不可欠です。
さらに、検索結果からネガティブ情報を押し下げる逆SEOや、ポジティブな情報発信の戦略的支援も受けられるため、個人で対応するよりも効率的かつ効果的です。

専門知識とスピード感を兼ね備えたプロのサポートにより、被害拡大を防ぎながら、安心して日常生活や業務に集中できる環境を整えられます。

継続的なモニタリングで再発も防げる

誹謗中傷は一度削除しても、時間が経つと再び投稿されることがあります。専門業者に依頼すれば、継続的なモニタリングを通じて新たな投稿や炎上の兆候を早期に発見できます。
専門的な監視体制により、悪質な投稿が増える前に対処でき、安心してネット上の活動や日常業務に集中できる環境を整えることが可能です。

対策を任せることで本業に集中できる

誹謗中傷への対応は、証拠の収集や削除依頼、場合によっては法的手続きまで、多大な時間と労力が必要です。
専門業者に依頼すれば、こうした手間をすべて任せられ、依頼者は本来の業務に集中できます。

さらに、専門家による対応で精神的な負担も軽減され、冷静に日常業務を進められる環境を維持できるでしょう。

業務効率と心身の健康を守りながら、誹謗中傷問題に対応できる点がメリットです。

法的措置を含む専門的サポートを受けられる

誹謗中傷への対応では、場合によって法的措置が不可欠になることがあります。しかし、個人での手続きは複雑で時間もかかり、適切に進めるのは困難です。
これにより、法的リスクを最小限に抑えながら、迅速かつ確実な対応が可能です。

専門的なサポートを受けることで、自分だけでは難しい手続きも安心して任せられ、問題解決までの道筋を明確にできます。

誹謗中傷問題への対処が安全かつ効率的に進められるでしょう。

過度に悪質な場合は弁護士に相談することも検討する

過度に悪質な誹謗中傷は、個人での対応だけでは対処が難しくなる場合があります。

そのような場合は、ネットトラブルに詳しい弁護士への相談を検討することが有効です。
早期に相談することで、証拠を確実に保全でき、被害の拡大も防ぎやすくなります。

まずは無料相談や初回面談を活用して、状況に応じた専門的なアドバイスを受けましょう。

これにより、精神的負担を軽減しながら安全に問題解決を進められます。

誹謗中傷が訴えられる基準

名誉毀損が成立するかどうかは、いくつかの基準で判断されます。まず、公然性が重要で、不特定多数が閲覧できる状態での発信であることが求められます。
次に、事実の摘示が必要で、具体的な出来事や情報が記載されている場合に限り成立します。

単なる悪口や根拠のない暴言は事実の摘示がないため、名誉毀損には当たりませんが、侮辱罪など別の法的問題に発展することがあります。

さらに、発信された内容が対象者の社会的評価を下げるかどうか、そして誰に関するものか特定できるか（同定可能性）も重要な要件です。

これらの条件をすべて満たす場合、誹謗中傷は法的に訴えられる可能性があります。

政府が行っている誹謗中傷対策

政府はインターネット上の誹謗中傷対策として、法律の改正を通じて抑止力を強化しています。
また、他人をそそのかすや犯罪を手助けするも処罰対象に含まれます。

さらに、公訴時効期間が従来の1年から3年に延長され、より長期間にわたって法的対応が可能となりました。

この改正により、誹謗中傷行為に対する抑止力が高まり、被害者が迅速かつ確実に法的手段を利用できる環境が整備されています。

法務省の公開資料では、表現の自由との兼ね合いや実務上の対応も示されており、被害防止のための理解が深まる内容となっています。

「誹謗中傷対策 個人」に関するよくある質問

個人で受ける誹謗中傷に関して、法的な対応や心のケア、加害者特定の方法など、よくある疑問や悩みに対して具体的に解説します。

個人でできる誹謗中傷対策まとめ

この記事では、個人ができる誹謗中傷対策の方法を、予防編、被害対応編、専門家依頼編に分けて解説しました。

SNSのブロックやミュート、投稿内容の工夫、情報の整理など自分でできる基本対策から、専門業者や弁護士に依頼するメリットまで幅広く紹介しています。

早期発見や適切な対応、法的措置の活用を組み合わせることで、被害の拡大を防ぎ、精神的負担を軽減しつつ、安全なネット環境を維持することが可能です。

個人で誹謗中傷対策を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。