取引先やその関係者の信頼性を見極めるコンプライアンスチェック(反社チェック)は、自社の社会的信用と利益を守るために必須の防衛策です。
万が一、不適切な企業との取引や繋がりが発覚すれば、法的ペナルティだけでなく、一瞬にしてブランドイメージを失墜させる致命的なリスクを負うことになります。
しかし、実務の現場では「具体的にどこまで調べればいいのか」「もしネットで悪評を見つけたらどう判断すべきか」と頭を悩ませる担当者も少なくありません。
手軽にできるネットリサーチから、公的データを活用した裏付けの取り方まで、実務に直結する具体的なコンプライアンスチェックの手法を分かりやすく解説します。
さらに、他社からのコンプライアンスチェックをスムーズに通過するために、自社が取り組むべき対策についても網羅しました。
この記事を読むことで、以下のことが分かります。
- BtoBビジネスにおける、コンプライアンスチェック(反社チェック)の具体的なやり方
- 他社からの審査に落ちないために、自社が引っかからないようにする先回りの防衛策
- 国土交通省や金融庁、法務局など、実務で使える公的機関の資料や検索ツールのリンク
CONTENTS
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コンプライアンスチェック(反社チェック)とは
コンプライアンスチェック(反社チェック)とは、企業が取引先とその関係者に対して健全な組織であるかを確認するため、法令遵守や社会規範に反していないかを調査するリスクマネジメントです。
企業が社会的信用を維持し、安全な経営を続けるためには欠かせないプロセスとなっています。
近年、企業の社会的責任への関心が高まる中、不適切な相手との取引は一瞬にして企業のブランドイメージを失墜させる重大なリスクを孕んでいます。
法的な罰則だけでなく、市場や消費者からの信頼を失わないためにも、事前のスクリーニングは現代の企業経営において必須の防衛策と言えるでしょう。
まずはコンプライアンスチェック(反社チェック)の基本的な概要について、以下の3つのポイントから解説します。
- コンプライアンスチェックする対象(法人・個人)
- 9割近い企業がコンプライアンスチェックをしている
- リファレンスチェックとの違い
コンプライアンスチェックする対象(法人・個人)
コンプライアンスチェックの対象は、新規の取引先企業にとどまらず、自社を取り巻くあらゆるステークホルダーです。リスクの芽を確実に摘むため、対象は法人と個人の両面に及びます。具体的な調査対象は以下の通りです。
・新規および既存の取引先企業、外注先、再委託先
・取引先企業の親会社、主要株主、実質的支配者
・取引先企業の役員、経営陣、主要な従業員
・個人事業主、フリーランス、顧問やコンサルタント
また、経営陣の交友関係に「反社会的勢力」との接点がないかを調べることも極めて重要です。
近年はサプライチェーン全体でのコンプライアンス遵守が強く求められるため、対象を限定しすぎない広い視野での調査が不可欠となっています。
9割近い企業がコンプライアンスチェックをしている

画像出典:オープン株式会社 【コンプライアンスチェック実施状況に関する調査】
コンプライアンスチェックの実施は、現代のビジネスにおいて企業の共通常識となっています。オープン株式会社が2025年3月に実施した調査によると、アンケート対象企業の「89%」がすでにチェックを導入していると回答しました。
これは3年前の調査時の73%と比較しても大幅に上昇しており、企業の危機管理意識が急速に高まっていることが伺えます。
またこの調査では、チェックを実施している企業のうち「29%」が、実際に取引の停止や見送りといった判断を下した経験があることも判明しています。
取引が始まってからのトラブルや不祥事を未然に防ぎ、自社の社会的信用を守るためには、契約前のスクリーニングの徹底がいまや不可欠と言えます。
リファレンスチェックとの違い
コンプライアンスチェックとリファレンスチェックの最大の違いは、調査の「目的」と「対象」にあります。取引先やその関係者が法令遵守しているか、反社会的勢力との関わりがないかなど、企業の社会的信用を守るために組織や個人の健全性を調べるもの
採用活動において、候補者の経歴の真偽や前職での実績、人柄などを第三者に問い合わせ、採用のミスマッチを防ぐために行うもの
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企業がコンプライアンスチェックをする目的
企業がコンプライアンスチェックを行う目的は、経営を脅かすあらゆるリスクを未然に排除し、自社の社会的信用と利益を守ることにあります。これは現代のビジネス環境において、取引先の不祥事や法的トラブルは、自社にも甚大な二次被害をもたらすためです。
健全な取引関係を維持し、安全な企業経営を継続するための具体的な目的について、以下の4つの観点から解説します。
- 悪質企業との取引発覚により他社から危険視されるのを防ぐため
- 反社会的勢力(反社)との関わりを未然に防ぐため
- コンプライアンス違反や社会的信用の失墜を回避するため
- 取引先の経営不振による連鎖倒産や未回収リスクを防ぐため
悪質企業との取引発覚により他社から危険視されるのを防ぐため
悪質企業との取引が発覚すると、自社まで「同類のリスクを抱えた企業」として、他社から危険視される恐れがあります。つまり、取引先をチェックすることは、他社から自社のコンプライアンス体制を疑われないための最大の防衛策になるのです。
労働基準法違反や詐欺行為といった不祥事を起こす悪質企業と繋がっているだけで、「リスク管理が甘い会社」「コンプライアンス意識が低い会社」とみなされてしまいます。
結果として、既存の優良な取引先から契約を打ち切られたり、新規の営業活動においてパートナー企業から提携を拒否されたりする経営危機に直面しかねません。
自社がどれほどクリーンな経営を行っていても、サプライチェーンの一部に問題があれば連鎖的に信用を失うのが現在の市場環境です。
他社から不審の目を向けられるのを防ぎ、健全なビジネスネットワークを維持するためには、事前のコンプライアンスチェックが重要となります。
反社会的勢力(反社)との関わりを未然に防ぐため
コンプライアンスチェックを行う重要な目的の一つは、国や自治体で厳格に定められている法的枠組みを遵守し、反社会的勢力(反社)との関わりを未然に防ぐことです。
政府が策定した「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」では、社会の秩序を守るため、企業に対して反社会的勢力との関係を一切遮断することを強く求めています。
さらに、すべての都道府県で「暴力団排除条例」が施行されており、反社会的勢力に対して利益を供与する行為は明確な条例違反となります。
※参考:東京都暴力団排除条例
万が一発覚した場合、過料などの罰則が科されるだけでなく、銀行融資の停止や上場廃止といった致命的な経営危機に直面しかねません。実際、株式会社オプトロムが、割当予定先の親会社が反社会的勢力の疑いがあるとの指摘を外部から受けていたにもかかわらず、名古屋証券取引所へ報告しなかったことで上場廃止になっています。
同社はその後も、金融庁から9,962万円の課徴金納付命令が出るなど、市場からの排除だけでなく巨額の経済的ペナルティを科される事態に発展しました。
そのため、現在の実務においては契約書に「暴力団排除条項」を盛り込むことが標準化されており、その前提として相手方が反社でないかを見極める調査が必須となっています。
コンプライアンス違反や社会的信用の失墜を回避するため
コンプライアンス違反による社会的信用の失墜を回避することも、チェックを行う重要な目的です。取引先が何らかの違法行為や不正を行っている場合、自社もその片棒を担いでいるとみなされかねません。
具体的にどのようなコンプライアンス違反があるのか、代表的な例は以下の通りです。
- 労働基準法違反(違法な長時間労働や賃金未払いなど)
- 各種業法違反や不正取引(産地偽装や不当表示、インサイダー取引など)
- 情報セキュリティ事故(個人情報の漏洩や機密データの流出など)
- ハラスメントや差別(パワーハラやジェンダー差別など)
ネット上に一度刻まれた悪評は長期間残り続け、売上減少や採用難など致命的な経営危機を招くため、事前の調査によるリスク回避が不可欠です。
取引先の経営不振による連鎖倒産や未回収リスクを防ぐため
取引先の財務の健全性や経営状態を把握し、売掛金の焦げ付きによる未回収リスクや連鎖倒産を未然に防ぐことも重要な目的です。コンプライアンスチェックは、反社会的勢力との繋がりだけでなく、企業の経営不振や法的トラブルの有無を察知する役割も担っています。
もし事前の調査を怠り、経営状態が極端に悪化した企業と高額な取引を始めてしまうと、相手方の倒産に伴い売掛金が回収不能になる恐れがあります。
主要な取引先でこれが起きれば、自社の資金繰りも連動して悪化し、最悪の場合は「連鎖倒産」という致命的な事態に追い込まれかねません。
事前に官報情報での倒産歴や、各種行政処分歴などをチェックしておくことで、相手方の経営危機の兆候をいち早く察知し、取引額の制限や前払いへの変更といった自衛策を講じることが可能となります。
これにより、取引額に制限を設けたり、前払いへの変更を求めたりといった自衛策を講じることが可能となり、自社の財務の安全性を強固に守ることができます。
コンプライアンスチェックのやり方8項目
コンプライアンスチェックの具体的なやり方は、手軽にできるネット調査から公的機関のデータ確認まで多角的なアプローチが存在します。
一つの方法だけに頼るのではなく、複数の調査手法を組み合わせることで、隠れた経営リスクや反社会的な繋がりを精度高くあぶり出すことができます。
自社で実施できるコンプライアンスチェックの具体的な方法として、以下の8項目を詳しく解説します。
- 「企業名+ネガティブワード」でネット検索する
- 公式SNSアカウントの投稿内容を調べる
- 企業の口コミサイト・掲示板の評判を調べる
- 新聞記事のデータベースから事件・不祥事を調べる
- 官報情報検索サービスで倒産歴や自己破産情報を調べる
- 国土交通省や金融庁のサイトで行政処分歴を調べる
- 法務局の商業登記簿謄本から不自然な役員変更や本店移転等がないか調べる
- 取引先に「暴力団排除条項」を提出させる
①「企業名+ネガティブワード」でネット検索する
コンプライアンスチェックにおいて最も手軽で基本となるやり方が、インターネットで「企業名+ネガティブワード」を組み合わせて検索することです。まずはこの方法で調べることにより、公的な記録にはまだ残っていないリアルタイムのトラブルや、過去の炎上リスクをスピーディーにあぶり出すことができます。
このリサーチを行う際は、企業の名前だけでなく代表者や役員の名前まで広げ、複数の主要媒体を網羅することが重要です。
検索エンジンでのウェブ検索やニュース確認にとどまらず、XやInstagramなどの主要SNS、さらにはYouTubeの動画まで網羅します。
それぞれの媒体の特性を活かして幅広く検索をかけることで、対象の隠れたリスクを多角的にあぶり出すことが可能になります。
②公式SNSアカウントの投稿内容を調べる
公式SNSアカウントの投稿内容を調べる目的は、その企業の「コンプライアンス意識の高さ」や「企業体質」を発信内容から推し量るためです。企業の公式XやInstagram、Facebookなどの発信は、プレスリリースのような形式的な文書とは異なり、企業のモラルや経営陣・担当者の姿勢がダイレクトに反映されやすい傾向にあります。
そのため、過去の投稿を遡って確認することで、倫理観に欠ける発言や差別的な表現、他者を不当に貶めるような不適切な発信が行われていないかをチェックします。
また、過去に「SNS炎上」を起こした経歴がないか、もし起こしていた場合に適切な謝罪や再発防止策が取られているかも重要な判断材料です。
公式アカウントの発信姿勢を細かく調べることは、その企業のガバナンスが健全に機能しているかを評価し、将来的に自社が炎上に巻き込まれるリスクを回避するために有効な手段となります。
③企業の口コミサイト・掲示板の評判を調べる
企業の口コミサイトや掲示板の評判を調べることで、外部からは見えにくい「社内実態」や「潜んでいるトラブル」をあぶり出すことができます。これらは実際に勤務していた元従業員や関係者のリアルな声が集まる場所であるため、労働環境の悪化や顧客との金銭トラブルといった生々しい情報が書き込まれているケースが多いためです。
具体的には、以下のようなサイトが調査の対象となります。
- 「OpenWork」や「転職会議」などの就職・転職口コミサイト
- 「5ちゃんねる(5ch)」や「爆サイ.com」などのインターネット匿名掲示板
- 「食べログ」「ホットペッパービューティー」などの各種業界の口コミサイト
- Googleマップ(ビジネスプロフィール)の口コミ
④新聞記事のデータベースから事件・不祥事を調べる

画像出典:日経テレコン
新聞記事データベースの活用は、過去数十年分の事件や不祥事、裁判リスクを公的な事実ベースで確認するために有効な手段です。通常のネット検索ではヒットしない、あるいはすでに削除されてしまった過去の報道記録を正確に把握できるため、信頼性の高い調査が行えます。
コンプライアンスチェックにおいて、業界標準として最も広く活用されているのが「日経テレコン」です。その理由は、以下の圧倒的なデータベースの量にあります。
- 過去40年にわたる全国紙、地方紙、各種業界紙など540を超える媒体の記事が検索できる
- 国内外の大手調査会社が提供する企業データベースから約150万社の企業情報を収集できる
- 30万人以上のプロファイルで、新聞には掲載されない人事情報も網羅されている
⑤官報情報検索サービスで倒産歴や自己破産情報を調べる

画像出典:官報情報検索サービス
取引先の経済的な信用度や過去の法的トラブルを把握するために、国立印刷局が提供する「官報情報検索サービス」を活用したリサーチは重要です。国が発行する機関紙である官報には、企業の破産や民事再生、代表者個人の自己破産といった情報がすべて記録されているため、取引継続の致命傷になり得る経済的リスクを確実に捉えることができます。
このサービスは、昭和22年5月3日から直近までの官報の内容を、日付やキーワードを指定して検索・閲覧できる内閣府承認の会員制有料サービスです。
企業名だけでなく代表者名でも検索をかけることで、経営陣個人の破産リスクまで網羅し、未回収リスクや連鎖倒産を未然に防ぐ確実な裏付けを取ることが可能になります。
⑥国土交通省や金融庁のサイトで行政処分歴を調べる
取引先が過去に公的なペネルティを受けていないかを確認するためには、各省庁が公開している行政処分歴をリサーチすることが有効です。特に以下の2つの官庁サイトは、重大なコンプライアンス違反の記録を正確に把握するのに役立ちます。建設業、不動産業、運送業など、住まいや交通に関連する事業者の過去の行政処分歴や指名停止処分を一元的に検索できるシステム。
銀行、保険会社、貸金業者、金融商品取引業者などに対する過去の処分事例が「Excelファイル」に集約されており、フィルター機能を使って対象企業の法令違反歴を簡単に探し出せます。
⑦法務局の商業登記簿謄本から不自然な役員変更や本店移転等がないか調べる
法務局で商業登記簿謄本を取得し、不自然な役員変更や本店移転の履歴を調べることで、企業の「実態の怪しさ」や「反社会的勢力による乗っ取り」のリスクをいち早く察知することができます。例えば、短期間で経営陣が頻繁に交代している場合、経営権が不適切な勢力に奪われたケースや、実質的支配者を隠すために「名義貸しの役員」を次々と入れ替えている可能性が示唆されます。
また、短期間に本店移転を繰り返している企業は、詐欺行為などの足取りをくらます目的や、前の拠点でトラブルを起こして逃亡した疑いが考えられます。
登記簿謄本は、管轄外でも全国の法務局で手数料を支払えば誰でも請求可能です。実体のない悪質企業や反社との関わりを未然に防ぐために、重要な調査項目の一つと言えます。
⑧取引先に「暴力団排除条項」を提出させる
コンプライアンスチェックにおける最終的な防衛策として、取引先に「暴力団排除条項」への同意や誓約書を提出させることが重要です。企業が自社で行う調査にはどうしても限界があり、相手方のすべての交友関係や裏の繋がりを完璧にあぶり出すことは難しいためです。
もし相手方が反社会的勢力であったり関係を持っていたりする場合、書面へのサインを拒否したり難色を示したりするため、契約直前の段階でリスクのある企業をふるい落とすことができます。
また、虚偽の申告をして契約を結んだことが後から発覚した場合でも、無条件で「即座に契約解除」できる明確な法的根拠を持てるメリットもあります。
大阪府警察や国土交通省などの公的機関が公開しているモデルを参考に、自社向けにフォーマットを作成しておくことを推奨します。
悪評リスクに、正しく対処するために。
企業の評判リスク対策を体系的に理解できる資料を無料公開。
悪評による影響や放置リスク、検索結果の仕組みから、具体的な対策方法と失敗しない進め方までをわかりやすく解説しています。
詳細ページ:https://webbr-lab.jp/whitepaper/
コンプライアンスチェック実施時の注意点
コンプライアンスチェックを導入する際は、単に調査をこなすだけでなく、情報の扱い方や運用のタイミングに細心の注意を払う必要があります。
確実なリスク管理と円滑なビジネスを両立させるために、必ず押さえるべき注意点として以下の3つを解説します。
- ネット上の「噂」と「公的な事実」を見極め、商機逸失を防ぐ
- 契約直前ではなく、なるべく早い段階で実施する
- 既存取引先も定期的に再チェック
ネット上の「噂」と「公的な事実」を見極め、商機逸失を防ぐ
インターネット検索やSNS、掲示板で得られる情報には、事実無根のデマや競合他社による嫌がらせ、元従業員による誇張された書き込みなどが少なからず含まれています。そのため、ネット上の「噂」や「評判」だけを鵜呑みにして過剰に反応し、安易に取引を拒絶してしまうと、本来であれば得られたはずの有益なビジネスチャンスを失うリスクが生じます。
コンプライアンスチェックを行う上で重要なのは、情報の性質を以下の2つに明確に区別することです。
- ネット上の噂・口コミ:リスクの火種や兆候を察知するための「きっかけ」として捉える
- 公的なデータ(報道・官報等):客観的な事実関係を評価するための「判断基準」とする
契約直前ではなく、なるべく早い段階で実施する
コンプライアンスチェックは、契約書を取り交わす直前ではなく、商談の初期段階や協業の検討が始まった段階など、なるべく早いタイミングで実施することがポイントです。プロセスの最終盤になってからチェックを行うと、ビジネスにおいて以下のようなデメリットやリスクが生じます。
- 「今さら引き返せない」という心理が働く
社内調整も済ませた段階でネガティブな事実が発覚した場合、「多少のリスクには目を瞑ろう」というバイアスが社内で働きやすくなり、正しい経営判断が鈍ってしまいます。 - これまでの時間と労力がすべて無駄になる
契約直前で破談になった場合、それまでの商談に費やした営業担当者のリソースや時間がすべて無駄になります。 - 相手方との深刻なトラブルに発展する恐れがある
相手企業側も不信感を抱き、最悪の場合は事実上の内定破棄と捉えられて損害賠償を請求されるなど、別の法的トラブルに巻き込まれるリスクが生じます。
既存取引先も定期的に再チェック
コンプライアンスチェックは、契約時に一度だけ行えば済むものではありません。初期の審査でどれだけクリーンだった企業であっても、時間が経てばその内部体制や置かれた状況は変化するため、既存の取引先に対しても年1回などの定期的な再チェックを行うことが不可欠です。
表面上は同じ企業名であっても、代表者や役員が交代したタイミングで裏で反社会的勢力と繋がりのある人物が実権を握ったりするリスクがあるためです。
これを見落とすと、気づかないうちに自社が反社への利益供与に加担させられるなど、深刻な事態を招きかねません。
そのため、「年に1回の定期更新時」や「役員変更の登記を確認したタイミング」など、自社の運用フローに再チェックの仕組みを組み込んでおくことが理想です。
自社調査で不安ならコンプライアンスチェックサービスに依頼する
インターネット検索や公的データベースを活用した自社でのリサーチは手軽で有効な方法ですが、調査の精度や網羅性、そしてマンパワーの面でどうしても限界があります。
自社でのリサーチに少しでも不安がある場合は、専門のコンプライアンスチェックサービスへ依頼、または反社チェックツールの導入を検討するのが確実です。
専門サービスに依頼することで、独自のデータベースによる網羅的な調査が可能となり、客観的なスコアリングによって社内での判断の迷いがなくなります。
自社調査の限界をカバーして安全性を劇的に高めつつ、業務の効率化も同時に達成できるため、人的リソースを本来の業務に集中させることができます。
コンプライアンスチェック以外の点でリスクが高いと敬遠される企業
一般的なコンプライアンスチェックをクリアしていても、それだけで安心はできません。
法令違反や反社会的勢力との繋がりがなくても、特定の国や団体、宗教、政治やリスクのある外国資本などと深い関係を持つ企業は、他社から取引を敬遠される傾向にあります。
具体的には、以下のような背景を持つ企業が敬遠されるリスクを抱えています。
- 国際的な経済制裁の対象国や、地政学的リスクが高い特定の国・地域と深いパイプを持っている企業
- 特定の過激な政治活動団体や、過去に重大な社会的トラブルを起こしている宗教組織と繋がりがある企業
- 安全保障上の懸念がある外国資本や、特定の海外勢力がバックに存在している企業
自社がコンプライアンスチェックに引っかからないようにする対策
他社からコンプライアンスチェックを受ける際、自社に明確な法令違反がなくても、ネット上に残る古いネガティブな情報や、予期せぬ管理不足によって「リスクあり」と判定されてしまうケースがあります。
このような事態を防ぐためには、他社からどう見られているかを客観的に把握し、自社のクリーンな状態を維持する以下の5つの防衛策が重要になります。
- コンプライアンスチェックシートで自社もセルフチェック
- 過去の炎上・不祥事ページ、不適切な投稿の削除依頼
- サジェスト汚染(やばい・詐欺など)の解消
- 逆SEO対策によるネガティブサイトの検索順位押し下げ
- リファレンスチェックで採用リスクを回避する
コンプライアンスチェックシートで自社もセルフチェック
コンプライアンスチェックに引っかからないためには、まず自社自身をコンプライアンスチェックすることが重要です。自社のリスク管理体制を効率的かつ高い精度で整えるために、専門機関や公的機関が一般向けに公開しているチェックシートを活用しましょう。
経営者が自社の法令遵守や社会的責任を点検するための網羅的なシート。
下請取引の適正化など、他社から「信頼できる取引先」として見られるための客観的な基準が示されています。
労務管理や労働環境の適正化に特化したシート。
違法な長時間労働の有無や36協定の遵守など、労働基準法違反のリスクを未然に防ぐ項目が並んでいます。
過去の炎上・不祥事ページ、不適切な投稿の削除依頼
過去に発生した炎上騒動や不祥事のネット記事、あるいはSNSや匿名掲示板への不適切な書き込みは、デジタルタトゥーとして半永久的に残り続け、「リスクあり」と判定される原因になります。そのため、他社からの信用を損ねないためには、こうしたネガティブなページや投稿に対して削除依頼を行うことが不可欠です。
各サイトの利用規約に照らし合わせ、名誉毀損や業務妨害にあたる正当な理由を明確にした上で適切な手続きを進めます。
自社での対応が難しい場合は、弁護士に依頼して「送信防止措置請求」や、裁判所を通じた「仮処分」の手続きを進めるのも有効な手段です。
参考:e-gov 法令検索 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律
サジェスト汚染(やばい・詐欺など)の解消
他社の担当者が検索窓に社名を入力した際、自社名のあとに「やばい」「詐欺」といったネガティブなキーワードが自動表示されるサジェスト汚染が起きていると、それだけで警戒されてしまいます。サジェスト汚染を解消するには、主に以下の2つの方法があります。
- Googleなどの検索エンジンの報告フォームから、規約違反や事実誤認に該当するキーワードの削除申請を行う方法
- プレスリリース、SNSなどを活用して最新情報を積極的に発信し、検索エンジンに別のキーワードを再学習させる方法
逆SEO対策によるネガティブサイトの検索順位押し下げ
削除依頼に応じない個人ブログやまとめサイトなどのWebページに有効なのが、逆SEO対策です。逆SEOとは、自社のオウンドメディアやSNS、プレスリリースなどを検索上位にランクインさせることで、相対的にネガティブなサイトの検索順位を2ページ目(11位以下)以降に押し下げる手法です。
具体的な逆SEOの手法には、主に以下のものがあります。
- ドメインの強いSNSや、外部プラットフォームの公式アカウントを網羅的に開設・運用して上位を占有する
- プレスリリース配信サービスを利用して最新の企業活動を発信し、ニュースサイト等に自社情報を引用、露出させる
- 自社でコントロールできるオウンドメディアを構築し、社名に関連するキーワードで質の高いコンテンツを発信する
リファレンスチェックで採用リスクを回避する
自社がコンプライアンス違反を起こさないためには、社内ガバナンスの強化、つまり人災の予防が欠かせません。どれだけ厳格な経営を行っていても、新しく採用した従業員が過去に重大な不正行為に手を染めていた場合、入社後にそれが発覚し、企業の社会的信用を失墜させるリスクがあります。
リファレンスチェックでは、採用選考の段階で候補者の同意を得た上で、前職の元上司や同僚に対して勤務態度や人物像、過去の問題行動などを調査します。
これにより、面接や履歴書だけでは隠されてしまう致命的なトラブルの兆候を入社前の段階で高い精度でスクリーニングできるようになり、将来的な不祥事の芽を摘むことができます。
コンプライアンスチェックのよくある質問(FAQ)
Q:取引先企業(またはその役員)を調べる際、個別の同意は必要?
一般的なコンプライアンスチェック(ネット検索、新聞記事、官報、公的なデータベースの照会など)の範囲であれば、原則として相手方の個別同意は必要ありません。すべて公にされている情報を調べているため、個人情報保護法やプライバシーの侵害には当たらないからです。
ただし、専門の調査機関に依頼して、公になっていない個人の前科や深い身辺調査(バックグラウンドチェック)などを行う場合は、あらかじめ本人からの同意書が必要になるケースがあります。
Q:既存の取引先が反社チェックで懸念ありと判定された場合、契約解除できる?
契約書の中に反社会的勢力の排除条項(反社条項)が明確に盛り込まれていれば、それを根拠に契約を解除することは可能です。しかし、ネット上の噂やツールの判定で「懸念あり(グレー)」となった段階で、十分な裏付けがないまま即座に一方的な契約解除に踏み切るのはリスクがあります。
まずは警察や暴力追放運動推進センターなどの公的機関に相談し、確実な事実関係の裏付け(エビデンス)を取った上で、弁護士などの専門家のアドバイスを受けながら法的に正しいプロセスで解除の手続きを進める必要があります。
Q:どの程度の規模の取引からチェックを実施すべき?
取引金額の規模に関わらず、すべての新規取引先に対して実施するのが理想です。たとえ数万円程度の小さな取引であっても、相手方が反社会的勢力であったり不祥事を起こしたりすれば、自社が被る社会的信用の失墜の大きさは取引金額とは関係がないからです。
ただし、リソースが限られている場合は、少額取引にはネット検索やSNSによる簡易チェックを行い、長期契約や高額取引には専門サービスを使うなど、取引の重要度に応じて運用ルールを切り分けるのが現実的です。
まとめ:コンプライアンスチェックは企業の生存戦略
コンプライアンスチェックは、単なる事務手続きではなく、企業の生存戦略そのものです。
どれほど優れた技術やサービスを持っていても、たった一つの不祥事や反社会的勢力との繋がりによって、これまで築き上げてきた社会的信頼は一瞬で崩壊してしまいます。
本記事で紹介した8つのチェック項目や公的機関のツールを活用し、まずはできるところから始めてみてください。
またコンプライアンスチェックは、取引先の健全性を見極めるのはもちろんのこと、自社に向けられるチェックの目に対しても、先回り対策を講じることが重要です。
ネット上の古い悪評やサジェスト汚染などを解消し、検索上での情報をクリーンに保つことで、他社から安心して選ばれるビジネスパートナーとしての地位を確立できます。
客観的な事実に基づいた正しい判断で、自社の成長とビジネスチャンスを最大化させましょう。
悪評リスクに、正しく対処するために。
企業の評判リスク対策を体系的に理解できる資料を無料公開。
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