誹謗中傷がなくならない理由|なぜ日本は多い?なくすために被害者ができること

公開日:2026/07/14
         
誹謗中傷がなくならない理由|なぜ日本は多い?なくすために被害者ができること

ネット上で執拗に誹謗中傷に晒され、精神的に追い詰められていませんか?

実は、日本のネット社会における誹謗中傷の多さは深刻で、X(旧:Twitter)における民間からの開示請求数は日本が「世界最多」を記録するなど異常なレベルに達しています。 

参考:朝日新聞 ツイッター社への民間の情報開示請求、日本が2年連続最多 米国抜く

なぜ、誹謗中傷はなくならないのか?

その裏には、加害者の軽はずみな心理、日本固有のネット環境や国民性といった根深い理由が存在します。

この記事では、総務省や法務省、こども家庭庁などが公表しているデータを基に、誹謗中傷がなくならない原因を徹底解剖します。

また、実際の裁判事例をみて、どのような言葉が誹謗中傷になり、どんな罰が科せられるのか、その加害者の末路までを追っていきます。

被害者がこれ以上の泣き寝入りをせず、誹謗中傷をなくすためにできることを、分かりやすく解説していきます。

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誹謗中傷がなくならない6つの理由

誹謗中傷がなくならない6つの理由インターネット上で日々繰り返される誹謗中傷ですが、なぜこれほど対策が叫ばれても根絶できないのでしょうか。

その背景には、書き手側の心理的な問題からネット特有の仕組みまで、複数の要因が複雑に絡み合っています。

これらが解消されない限り、悪質な書き込みを完全にゼロにすることは困難です。

まずは、深刻なネット社会の問題とも言える、誹謗中傷がなくならない6つの理由について詳しく解説します。
    1. 罪悪感のないただのストレス発散
    2. 自分が言わねばという歪んだ正義感
    3. 便乗を加速させる集団心理(エコーチェンバー現象)
    4. 「どうせバレない」というネットリテラシーの低さ
    5. 有名税だから叩かれて当然という免罪符
    6. 過激な投稿がバズりやすいアルゴリズムと歪んだ承認欲求

①罪悪感のないただのストレス発散

誹謗中傷の投稿をした動機は次のどれに当てはまりますか?

画像出典:弁護士ドットコム株式会社 誹謗中傷加害経験の実態調査:2024年版

ネット上で誹謗中傷をしてしまう最も大きな要因の一つとして、書き手側のストレス発散があります。

弁護士ドットコム株式会社が実施した実態調査によると、誹謗中傷をした動機として「イライラする感情を発散したかったから」という理由が、36.6%と最多の割合を占めました。

これは、日常生活で生じた不満やストレスの矛先を、ネット上の見ず知らずの他人に向け、憂さ晴らしをしている状態と言えます。

さらに同調査では、投稿した本人の52.7%が「自分の書き込みが誹謗中傷にあたると認識していなかった」と回答しています。

つまり加害者側は、他者を深く傷つけているという自覚や罪悪感が一切なく、単なる手軽なストレス解消法として悪質な書き込みを行っているケースが多いのです。

この無自覚さと身勝手な感情のぶつけ合いが、ネット上で誹謗中傷がなくならない大きな要因となっています。

②自分が言わねばという歪んだ正義感

誹謗中傷を行う人の中には、悪意ではなく「自分が社会の代わりに相手を成敗しなければならない」という強い思い込みを抱えているケースが少なくありません。

世間的に批判を浴びている人物や、自身の価値観に反する行動をとった他者に対して、独自の正義感を振りかざして攻撃を仕掛けます。

近年、世間で賛否を巻き起こしている「私人逮捕系インフルエンサー」の流行も、こうした心理的な潮流の延長線上にあると言えます。

悪を成敗する姿に多くの人が拍手喝采を送り、自分もその正義に加担しているかのような錯覚に陥ることで、誹謗中傷が正当化されていくのです。

前述の弁護士ドットコムの調査でも、誹謗中傷の動機として「正義感から」と答えた人が7.5%存在しています。

本人たちは、相手を傷つけている自覚が一切なく、むしろ良いことをしているという高揚感から、過激化していくという厄介な側面を持っています。

③便乗を加速させる集団心理(エコーチェンバー現象)

便乗を加速させる集団心理(エコーチェンバー現象)

画像出典:総務省がキャス・サンスティーン(2001)『インターネットは民主主義の敵か』を基に作成

ネット上の誹謗中傷が増えていく背景には、特定の意見が増幅されやすい「エコーチェンバー現象」と呼ばれる集団心理が働いています。

エコーチェンバー現象とは、SNSのタイムライン等において、自分と似た意見ばかりに囲まれることで、特定の偏った考えがまるで社会の総意であるかのように錯覚してしまう現象です。

これは、近年のSNSのアルゴリズムも大きく影響しています。

ユーザーの過去の閲覧履歴やいいねの傾向から、システムが自動的に「好むであろう情報」を優先表示するため、無意識のうちに反対意見が排除された閉鎖的な空間(エコーチェンバー)に閉じ込められてしまうのです。

実際に総務省の情報通信白書に掲載された、政治系ウェブサイトのリンク先調査によると、他のサイトへリンクを張る際、自身のサイトと「同意見」へのリンク割合は約6割と高かったのに対し、「反対意見」へのリンクは2割未満でした。

このように「みんなが叩いているから自分も一緒に叩いていい」という集団心理が働き、便乗による誹謗中傷が増えていくのです。

④「どうせバレない」というネットリテラシーの低さ

多くの加害者がネット上に悪質な書き込みを平気で残してしまうのは、「匿名の世界だから、自分の身元がバレるわけがない」という誤った認識を抱いているからです。

スマホやパソコンの画面越しであれば、自分が誰であるかを相手に知られることなく、安全な場所から一方的に言葉の暴力を向けられると錯覚しています。

しかし、現代のインターネットにおいて「完全な匿名」は存在しません。 

すべての投稿には、通信回線やプロバイダを経由した際の接続ログ(IPアドレスなど)が必ず残る仕組みになっています。

侮辱罪の厳罰化や、裁判手続きを簡略化する法改正が進んだ現代において、書き込んだ犯人を特定することは決して不可能ではありません。

それにもかかわらず、「アカウント名やプロフィールを偽装していれば逃げ切れる」と安易に考えてしまうネットリテラシーの低さこそが、無責任な誹謗中傷を生み出す温床となっています。

⑤有名税だから叩かれて当然という免罪符

芸能人やスポーツ選手、インフルエンサーなどの著名人に対する誹謗中傷がなくならない背景には、「有名税」という言葉を都合よく解釈し、自らの攻撃行為を正当化する免罪符にしている心理があります。

多くの注目を集めて利益を得ているのだから、大衆からの批判や罵詈雑言も甘んじて受け入れるべきだという極端な論理です。

この心理を持つ人は、著名人を自分と同じ血の通った「一人の人間」として捉えておらず、テレビやスマホの画面の向こう側にいるコンテンツのように扱っています。

そのため、どれほど酷い言葉を浴びせても相手が傷つく想像ができず、罪悪感を抱きにくいという特徴があります。

しかし、有名税という言葉は法的にも倫理的にも、他者を誹謗中傷してよい理由には一切なり得ません。

前述の弁護士ドットコムの調査でも、誹謗中傷の動機として「著名人だから何を言ってもいいと思ったから」と答えた人が5.4%存在しており、この身勝手な特権意識は今なお根深く残っています。

⑥過激な投稿がバズりやすいアルゴリズムと歪んだ承認欲求

ネット上の誹謗中傷を過激化させている要因が、現代のSNSが採用しているインプレッション(閲覧数)重視のアルゴリズムと、それによって増幅される「歪んだ承認欲求」です。

現在の主要なSNSは、ユーザーの関心を惹きつけやすい刺激的な投稿ほど拡散されやすく、多くの人の目に触れるアルゴリズムになっています。 

このアルゴリズムのもとでは、過激な言葉で誰かを叩くほどいいねやリポストが急増し、瞬く間に「バズる」という現象が起きます。

これを目にした投稿者は、まるで自分の意見が世間に広く認められたかのような強烈な快感を覚え、歪んだ承認欲求を満たしてしまうのです。

さらに、近年では閲覧数に応じて収益が得られるシステムも普及したため、注目を集めること自体が目的化し、より過激な誹謗中傷へ走るケースも後を絶ちません。

システム的な拡散力と、他者を踏み台にしてでも目立ちたいという人間の承認欲求が結びつくことで、悪質な誹謗中傷が絶えず生み出され続ける構造が作られています。

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なぜ日本のSNSは誹謗中傷が多いのか?

なぜ日本のSNSは誹謗中傷が多いのか?海外と比較しても、日本のSNSは攻撃的な書き込みや炎上事案が発生しやすい傾向にあると言われます。

法整備が進んだ現代においてもなお、なぜ日本国内のSNSではこれほどまでに痛ましい言葉の暴力が飛び交うのでしょうか。

そこには、日本固有のインターネット環境の利用実態や、日本人が抱える心理的・文化的な背景が深く関係しています。

実際のデータとそこからわかる社会背景を交えながら、なぜ日本のSNSは誹謗中傷が多いのかを、紐解いていきます。
  • 開示請求が世界最多の現実
  • 自尊心が低く、意見を言えない国民性
  • Facebook低迷からわかる、過剰な匿名性

開示請求が世界最多の現実

日本のSNSにおける誹謗中傷の深刻さは、データにも顕著に表れています。

米ツイッター社(現:X)が発表した透明性に関する報告書によると、政府機関以外である民間からのアカウント情報開示請求において、日本は2年連続で「世界最多」を記録しました。

2021年上半期のデータでは、世界全体の民間からの開示請求460件のうち、日本が241件と5割強を占めて圧倒的なトップとなっています。 

そもそも開示請求とは、匿名の書き込みによって権利侵害を受けた被害者が、相手を特定して損害賠償などを請求するために行う法的手続きです。

つまり、この請求数が世界最多であるということは、正体不明のまま他者を攻撃する悪質な加害者が多く、裁判の手続きを踏んででも相手を特定しなければならない深刻な被害が溢れているという、日本の異常な現状を物語っています。

これは、誹謗中傷によって自ら命を絶つような悲痛な事件をきっかけに、被害者の泣き寝入りを防ごうとする社会的な意識が高まり、法的手続きのハードルが下がったことも背景にあります。

参考:朝日新聞 ツイッター社への民間の情報開示請求、日本が2年連続最多 米国抜く

自尊心が低く、意見を言えない国民性

日本と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査

画像出典:こども家庭庁 我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査(令和5年度)

日本のSNSで誹謗中傷が多い背景には、日本人が抱える特有の国民性が関係しています。

こども家庭庁が公表した「我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査」によると、「私は、自分自身に満足している」という問いに「そう思う」と答えた日本の若者は16.9%にとどまり、これは諸外国(米独仏瑞)の3割超と比べても、突出して低い結果でした。

さらに「自分の考えをはっきり相手に伝えることができる」という問いでも、日本の「そう思う」は17.9%と、これも同様に諸外国の3割強に比べて大きく下回っています。

このデータは、日本人が自己肯定感が低く、リアルな社会において自分の意見を主張するのが苦手であることを物語っています。

つまり現実世界で感情を抑圧し、他人に本音を言えないストレスや不満が、匿名で誰もが対等になれるネット空間において、他者を攻撃する形(誹謗中傷)で一気に爆発してしまうのです。

このような国民性が、日本の誹謗中傷が多い要因の背景にあります。

Facebook低迷からわかる、過剰な匿名性

Facebook低迷からわかる、過剰な匿名性

画像出典:株式会社ホットリンク 2026年|日本・世界のSNS利用者数ランキングまとめ

SNSの利用率においても、日本は世界と比べても誹謗中傷と結びつきやすい性質であることが伺えます。

株式会社ホットリンクが公表したSNSデータによると、世界全体では実名制を基本とする「Facebook」が月間アクティブユーザー数30.7億人で圧倒的1位に君臨しています。

しかし日本国内に目を向けると、Facebookの利用率はわずか33%にとどまり、主要SNSの中で低迷しているのが現実です。

世界では「実名でリアルな繋がりを楽しむSNS」が主流であるのに対し、日本では「匿名で本音や趣味を語るSNS」が爆発的に普及しているという構造があります。

この過剰な匿名性が、「誰が書いたか分からない」という安心感からモラルを低下させ、他者を容赦なく攻撃する過激な誹謗中傷を誘発する原因となっています。

誹謗中傷をなくすには?被害者ができること

誹謗中傷をなくすには?被害者ができること自身に対する誹謗中傷を発見した際、怒りや悲しみのあまりパニックになってしまう方は少なくありません。

しかし、感情に任せた間違った対応をとってしまうと、被害をさらに拡大させたり、後々の法的追及が難しくなったりする恐れがあります。

悪質な書き込みを止めさせ、正当な権利を主張するためには、法律に則った正しい手順を冷静に踏むことが重要です。

ここでは、被害者が誹謗中傷トラブルを解決するための具体的な手順を解説します。
  1. スクリーンショットなど証拠の保全
  2. 自分でサイトに削除申請
  3. 無視されたら運営者へ「送信防止措置」を請求
  4. それでも消さない場合「削除の仮処分」
  5. 書き込んだ犯人を特定する「発信者情報開示請求」
  6. 特定した犯人へ損害賠償請求(民事)や刑事告訴

【注意】加害者への直接反論は危険、火に油を注ぐだけ

具体的な対策の手順に進む前の大前提として、絶対にやってはいけないのが「加害者への直接反論」です。 

悪質な書き込みを見つけると、怒りや悔しさからネット上で相手に言い返したくなりますが、これは火に油を注ぐだけの危険な行為と言えます。

誹謗中傷を行う加害者は、先述の通りストレス発散や歪んだ正義感を動機としており、被害者が困惑したり怒ったりするリアクションを面白がって楽しむ傾向があります。

そのため、反論をすると相手をさらに喜ばせ、攻撃を過激化させたり、周囲のネットユーザーを巻き込んで炎上を拡大させたりするリスクが跳ね上がります。

さらに、感情的な言い返しをしてしまうと、最悪の場合は自分自身も誹謗中傷の加害者として扱われてしまう恐れすらあります。

どのような暴言を吐かれても、決して同じ土俵には立たず、相手を完全に「無視」して冷静に次のステップへ進むことが最善の自己防衛です。

ステップ①スクリーンショットなど証拠の保全

誹謗中傷を見つけたら、まずは何よりも先にスクリーンショットによる画面の保存(証拠保全)を行ってください。 

なぜなら、ネット上の投稿は加害者がいつでも自由に削除できるため、相手が証拠隠滅をして逃げてしまうと、その後に削除申請や法的追及をしたくても一切の手続きが進められなくなるからです。

証拠として有効に機能させるためにも、以下の条件を満たしているスクリーンショットが望ましいと考えられます。
  • 誹謗中傷の「書き込み本文」がはっきりと確認できること
  • 投稿を行った者の「アカウント名」や「ユーザーID」が映っていること
  • 投稿された正確な「投稿日時」が確認できること
  • そのページの「URL」が画面内に収まっていること
URLなどの情報が画像内に残っていないと、その後の裁判手続きなどで、証拠能力として認められないリスクがあるため注意してください。

後から「そんな書き込みはしていない」と言い逃れされて泣き寝入りしないためにも、被害に気づいた瞬間にすべての画面を保存し、確実な証拠を確保しましょう。

ステップ②自分でサイトに削除申請

証拠をしっかりと保存したら、次は自分で誹謗中傷をされたWebサイトやSNSの運営元へ削除申請を行います。

高額な費用がかかる弁護士へ最初から依頼するのではなく、まずは各プラットフォームが用意している無料の通報窓口を利用して、自分で削除を試みるのが一般的な手順です。

多くの主要SNSや掲示板には、投稿の近くに「報告する」や「不適切なコンテンツを通報」といったボタンが設置されています。

また、専用の問い合わせフォームから申請する場合は、サイトの利用規約やガイドラインの「どの条項に違反しているか」を具体的に指摘することが早期削除のポイントです。

ただし、自分で申請するからといって、運営元に対して感情的な文面で怒りをぶつけてはいけません。

運営側はあくまで「規約違反があるか」を客観的に判断するため、事実関係のみを冷静に伝える必要があります。

まずはこの方法で、自分の手で解決を目指します。

ステップ③無視されたら運営者へ「送信防止措置」を請求

サイト上の通報フォームや問い合わせから削除申請しても無視され、書き込みが削除されない場合は、次のステップとして「送信防止措置」を請求します。

画面上の簡易的なやり取りから、一歩進んだ正式な書面による請求へと切り替える手続きです。

具体的には、情報流通プラットフォーム対処法(旧:プロバイダ責任制限法)に基づいて「送信防止措置依頼書」という法的効果を持つ書類を作成し、運営会社の登記住所へ郵送します。

この際、確実に書類を届けて本気度を伝えるため、郵送手段として「内容証明郵便」を利用するのが鉄則です。

内容証明郵便を使うことで、「いつ、どのような内容の削除請求が届いたか」を公的に証明できるため、運営側も単なる一般ユーザーからの通報として無視できなくなり、真剣に対応を検討せざるを得なくなります。

書類には、どの投稿によって自分のどのような権利侵害(プライバシーの侵害、名誉毀損など)がされたかを、法律に則って論理的に記載する必要があります。

運営者に対して強い法的プレッシャーを与え、迅速な対応を促すための強力な手段です。

参考:e-gov 法令検索 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律

ステップ④それでも消さない場合「削除の仮処分」

内容証明郵便による請求すら無視され、どうしても書き込みが消されない場合は、裁判所を通じて「削除の仮処分」を申し立てる手続きへ進みます。

これは、通常の裁判(本訴)が終わるのを待っていては被害が拡大してしまうため、裁判所に「まずは緊急で削除を命じる決定を出してほしい」と求める臨時の法的手続きです。

仮処分といっても、裁判所から出される命令には強い強制力があります。

目的を果たすためにどれほど頑なに削除を拒んでいたサイト運営者であっても、裁判所から仮処分命令が下されれば、基本的には速やかに書き込みの削除に応じます。

通常の裁判であれば判決までに半年から1年以上かかることも珍しくありませんが、仮処分であれば早ければ数週間から数ヶ月程度で結論が出ます。

被害の拡大を最小限に食い止めるための実効性の高い手段となります。

参考:裁判所 民事保全

ステップ⑤書き込んだ犯人を特定する「発信者情報開示請求」

問題の書き込みが削除された、あるいは削除の手続きと並行して加害者に責任を取らせたいと考える場合は、書き込んだ犯人を特定する「発信者情報開示請求」を行います。

いわゆる「開示請求」と言われているもので、近年ではこの手続きが簡易化したことで、一般人にも身近な法律用語として知られるようになりました。

要は、匿名の相手に対して損害賠償などを請求するために、まず相手の氏名や住所を暴かなければならないから、この開示請求を行います。

具体的には、SNSの運営会社や通信プロバイダに対して、投稿者が接続した際のIPアドレスや、契約者の住所・氏名などの「発信者情報」を開示するよう求めていきます。

かつては、サイト運営者とプロバイダの2回にわけて裁判を起こす必要があり、特定までに時間がかかっていました。

しかし、2022年10月に施行された改正プロバイダ責任制限法(現:情報流通プラットフォーム対処法)により、これらを1つの裁判手続きでまとめて請求できる新制度「発信者情報開示命令」がスタートしました。

これにより、以前よりも大幅に時間とコストを抑えて犯人を特定できるようになっています。

参考:裁判所 発信者情報開示命令申立て

ステップ⑥特定した犯人へ損害賠償請求(民事)や刑事告訴

発信者情報開示請求によって書き込んだ犯人の氏名や住所が特定できたら、いよいよ最後のステップである「法的な責任追及」へ進みます。

匿名の影に隠れていた加害者に対し、自分が受けた苦痛や不利益への責任を追究する段階です。

責任の追及方法には、大きく分けて「民事」と「刑事」の2つのルートがあります。
民事上の責任追及(損害賠償請求)
精神的苦痛に対する「慰謝料」や、犯人を特定するためにかかった「弁護士費用・調査費用」の全額または一部を、損害賠償として相手に請求します。

まずは弁護士を通じて内容証明郵便で示談交渉を持ちかけ、相手が支払いや反省を拒む場合は、民事裁判を起こして強制的に財産を差し押さえる手続きをとります。
刑事上の責任追及(刑事告訴)
警察署に証拠を提出して「刑事告訴」を行い、加害者を犯罪者として処罰するよう求めます。

書き込みの内容に応じて「名誉毀損罪」や「侮辱罪」、「業務妨害罪」などが適用され、警察に逮捕・書類送検された加害者には、罰金刑や懲役刑などの刑事罰が科されることになります。
ちなみに犯人を特定したからといって、相手の個人情報をネット上に晒して私刑を行うのは絶対にNGです。

その場合、今度は自分が加害者になってしまうため、最後まで法律の手続きに則って、毅然とした態度で正当なペナルティを科しましょう。

参考:法令検索e-gov 民法、刑法

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事例で分かる誹謗中傷をする人の悲惨な末路

「どうせバレない」「みんな書いているから」と安易な気持ちで行った書き込みが、投稿者の人生を根底から覆してしまうケースが後を絶ちません。

ネット上の誹謗中傷は、匿名という盾が剥がされた瞬間から、高額な賠償金や前科、社会的信用の失墜といった重いペナルティが科されます。

ここでは、実際に裁判で決着がついた具体的な判例をもとに、他者を傷つけた加害者が迎える悲惨な末路をリアルな数字とともに紹介します。
  • 事例① 33万円の損害賠償:ゆたぼん氏への中傷
  • 事例② 36万円の損害賠償:はあちゅう氏への中傷
  • 事例③ 罰金刑と176万円の賠償:東名あおり事故のデマ拡散

事例① 33万円の損害賠償:ゆたぼん氏への中傷

事例① 33万円の損害賠償:ゆたぼん氏への中傷これは「不登校は不幸じゃない」というメッセージを掲げて活動するユーチューバーの「ゆたぼん」氏が、ネット上で誹謗中傷を受けたとして、北海道に住む30代男性を相手取り損害賠償を求めた裁判です。

東京地裁は、男性の書き込みを「社会通念上許される限度を超えた侮辱行為」と認め、33万円の支払いを命じました。

加害者の男性は、ニュースサイトのコメント欄に匿名で悪質な投稿を行っていました。

判決では、その表現内容や回数から「少年の人格的利益を侵害した」と厳しい判断が下されています。

ゆたぼん氏側ではこれまでに50件以上の示談が成立した事例もあり、「匿名なら何でも書き込んでいいというネット環境を変えたい」という強い姿勢がこの勝訴に繋がっています。
【加害者が書き込んだ誹謗中傷】
  • 「このゴミガキ定期的に上がるけどさ、マジで学校行ってないの?」
  • 「5年後一家心中とかで馬鹿にされそうだわ」
【それによって受けた罪やペナルティ】
  • 不法行為による33万円の損害賠償命令
  • 本名の特定

参考:産経新聞 ユーチューバー「ゆたぼん」を中傷、30代男性に賠償命令

事例② 36万円の損害賠償:はあちゅう氏への中傷

事例② 36万円の損害賠償:はあちゅう氏への中傷有名ブロガーであり作家としても活動する「はあちゅう」氏が、インターネット上の匿名掲示板「ガールズちゃんねる」において、執拗な誹謗中傷を受けたとして損害賠償を求めた裁判です。

東京地裁は、これらの書き込みによる名誉毀損を認め、都内在住の加害女性に対して36万円の支払いを命じました。

加害者は裁判において「相手は炎上しやすいブロガーである」などと主張し、自身の正当性を訴えましたが、裁判所はその主張を一切認めませんでした。

はあちゅう氏は、裁判中もSNS上での直接の言争いを一切避け、法律の手続きのみで冷静に対処しており、今回の判決は数ある誹謗中傷裁判の中の1つの成果として報道されました。
【加害者が書き込んだ誹謗中傷】
  • 同一の掲示板における計30件にのぼる侮辱・誹謗中傷
(※詳細は本人ブログ内で公開されています)

【それによって受けた罪やペナルティ】
  • 名誉毀損(不法行為)の認定による、36万円の損害賠償の支払い
  • 身元の特定

参考:はあちゅうのお買い物日記 【ご報告】誹謗中傷裁判の判決が出ました

事例③ 罰金刑と176万円の賠償:東名あおり事故のデマ拡散

事例③罰金刑と176万円の賠償:東名あおり事故のデマ拡散2017年に発生した東名高速道路でのあおり運転死亡事故を巡り、容疑者と関わりがあるかのような嘘の情報をネット上に書き込まれ拡散されたとし、石橋建設工業とその社長が、投稿者5人を相手取って起こした裁判です。

福岡地裁は、投稿者5人に対し、計176万円の損害賠償支払いを命じました。

ネット上の誹謗中傷は、このように嘘(デマ)を転載・拡散する行為であっても重い罪に問われるのです。

このデマにより、会社には1日100件を超える非難や無言電話が殺到し、社長は子供を休校させるほどの恐怖に晒されました。

裁判長は「故意とは言えないまでも、原告の信用に疑問や誤解を生じさせた」と認定しています。

さらに、この5人は民事上の賠償金だけでなく、4人が略式命令、1人が正式裁判を経て「名誉毀損罪」として、罰金30万円の刑事罰に処されるという末路を迎えています。
【加害者が書き込んだ誹謗中傷】
  • 凄惨な事故を起こした容疑者が、原告の会社に勤務しているという根拠のないデマ
【それによって受けた罪やペナルティ】
  • 【民事】計176万円の損害賠償(慰謝料・実害への弁償)の支払い命令
  • 【刑事】名誉毀損罪により「罰金30万円」の刑事罰

参考:日本経済新聞 デマ投稿で5人に賠償命令 東名あおり事故巡り

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そもそも誹謗中傷とは?

そもそも誹謗中傷とは?ネットやニュースで日常的に耳にする「誹謗中傷」という言葉ですが、実はその法的な定義や、どのような書き込みがペネルティの対象になるのかを正確に理解している人は多くありません。

中には「悪口を言われたけれど、これって警察に相談できるレベルなの?」と悩んでしまう方もいれば、逆に「これくらいなら批判の範囲内だろう」と安易に書き込んで人生を狂わせる加害者もいます。

トラブルに直面した際に冷静な判断ができるよう、誹謗中傷の言葉の定義や、日本の法律における意外な仕組みについて分かりやすく解説します。
  • 誹謗中傷という言葉の意味
  • 誹謗中傷罪という罪は存在しない
  • どんな誹謗中傷の言葉が罪になるか?

誹謗中傷という言葉の意味

ネット上で当たり前のように使われている「誹謗中傷」ですが、まずはその正確な意味を辞書から紐解いてみましょう。

新語時事用語辞典(Weblio辞書)では、以下のように定義されています。
誹謗中傷とは、根拠のない悪口を言いふらして他人の名誉を損なう行いのことである。「誹謗」は「人の悪口を言う」ことであり、「中傷」は「根拠のない内容で人を貶める」ことである。厳密な意味は異なるが、どちらも悪意を持って他人を攻撃する行為である点は共通しており、類語の関係に位置づけられる。
このように、言葉を分解すると「誹謗(悪口を言う)」と「中傷(デマでおとしめる)」という2つの要素が合わさった言葉であることが分かります。

ここで重要なのは、どちらの行為も共通して「悪意を持って他人を攻撃し、その名誉を損なう行い」であるという点です。

つまり、インターネット上の書き込みにおいて、表現の自由や正当な批判・批評の範囲を超え、ただ相手を攻撃することそのものが目的になっている投稿が、この誹謗中傷に該当します。

誹謗中傷罪という罪は存在しない

ネット上で悪質な書き込みをされたとき、警察に被害届を出して「誹謗中傷罪」で逮捕してもらいたい、と考える方は少なくありません。

しかし、現在の日本の刑法において「誹謗中傷罪」という名前の罪は存在しないのが現実です。

では、誹謗中傷をした加害者は何の罪にも問われないのかというと、決してそんなことはありません。

警察に動いてもらったり、刑事罰を科したりするためには、個々の悪質な書き込みの内容が、以下のようないずれかの既存の法律(犯罪)の要件に当てはまることを証明していく形になります。
名誉毀損罪(刑法230条)
公の場で「具体的な事実」を挙げて、他人の社会的評価をおとしめた場合に成立します。たとえその内容が真実であっても、相手の社会的信用を傷つければ罪に問われる可能性があります。
侮辱罪(刑法231条)
具体的な事実を挙げず、公の場で単に相手を罵倒したり、おとしめたりした場合に成立します。2022年の法改正により厳罰化され、現在は懲役刑や禁錮刑も科される重い犯罪となっています。(例:「バカ」「ブス」などの悪口)
信用毀損及び業務妨害罪・威力業務妨害罪(刑法233条・234条)
嘘の情報を流したり(偽計)、威力を用いたりして、個人や企業の経済活動・業務を妨害した場合に成立します。(例:店舗に対する嫌がらせの口コミやデマの拡散)
脅迫罪(刑法222条)
相手やその親族の「生命、身体、自由、名誉、財産」に対して危害を加えるような告知をした場合に成立します。(例:「殺す」「家を特定して放火する」などの書き込み)

参考:法令検索 e-gov 刑法

このように、誹謗中傷そのものを直接取り締まる単一の法律はなくても、表現の仕方に合わせてさまざまな刑法を適用し、加害者を厳しく処罰できるようになっています。

どんな誹謗中傷の言葉が罪になるか?

どのような言葉を書き込んだら法律違反(アウト)になるのか?という境界線は、当事者にとっては見極めが難しい部分です。

加害者の多くは「ただの批判や意見のつもりだった」と言い訳をしますが、法的に罪や権利侵害と認められるケースには明確な基準が存在します。

自分の受けた被害、あるいは自分が書こうとしている言葉が「法的にアウトなのか」を客観的に判断するには、実際の法律の適用例や過去の裁判データと照らし合わせるのが最も確実です。

具体的には、以下の2つの資料をチェックすることで、その明確なラインが見えてきます。
どちらの公開資料も、加害者のリアルな生々しい誹謗中傷がそのままの文章で公開されています。

特に、法務省の「侮辱罪の事例集」では、裁判結果でいくらの罰金や科料になったのか、その具体的金額までも記載されており参考になります。

ネット上で「誹謗中傷 基準」などと検索すると、それらしい解説や一般的なボーダーラインの回答がたくさん出てきます。

それらのもっともらしい解説を鵜呑みにするよりも、こうした国が公表しているデータや実際の裁判の判決といったリアルな事例と照らし合わせる方が確実で、説得力があります。

誹謗中傷がなくならない一方で、法改正は進んでいる

誹謗中傷がなくならない一方で、法改正は進んでいるインターネットの普及とともに、匿名性に隠れた悪質な誹謗中傷は社会問題化し、いまや毎日のように悲惨なニュースが飛び交っています。

「これだけ厳罰化が叫ばれているのに、なぜなくならないのか」と絶望的な気持ちになる方も多いかもしれません。

しかしその一方で、被害者を救済し、加害者を逃がさないための「法改正」は着実に、そして強力に進んでいます。

厳罰化された刑法と、手続きのスピードが早まった新法について、分かりやすく解説します。
  • 侮辱罪の厳罰化:懲役刑の導入と公訴時効「3年」への延長
  • 情報流通プラットフォーム対処法:削除と開示の迅速化

侮辱罪の厳罰化:懲役刑の導入と公訴時効「3年」への延長

2022年(令和4年)7月、刑法が改正されたことで「侮辱罪」の法定刑が大幅に引き上げられ、厳罰化されました。

これにより、それまではどれだけ悪質な誹謗中傷であっても、軽い罪として扱われていた状況が一変しています。
区分改正前改正後(現在)
刑罰拘留(30日未満)または科料(1万円未満)1年以下の懲役・禁錮、30万円以下の罰金、または拘留・科料
公訴時効1年3年

参考:法務省 侮辱罪の法定刑の引上げについて

大きなポイントは、新たに懲役や高額な罰金が追加されたことです。

これにより、ネット上の単なる悪口であっても、一発で実刑判決が下ったり、前科がついたりする重大な犯罪へと位置づけが変わりました。

さらに、被害者にとって最も重要な変更が、公訴時効が1年から3年に延長された点です。

改正前は「犯人を特定できた頃には、すでに1年の時効を迎えていて刑事告訴できなかった」という泣き寝入りが多発していましたが、時効が3年に延びたことで、時間をかけて刑事責任を追及することが可能になりました。

情報流通プラットフォーム対処法:削除と開示の迅速化

2025年(令和7年)に施行された「情報流通プラットフォーム対処法」により、ネット上の誹謗中傷への対策はさらに加速しました。

この法律は、従来の「プロバイダ責任制限法」を抜本的に見直し、時代の変化に合わせて新法として生まれ変わったものです。

これにより、SNSや大規模掲示板などの運営事業者(プラットフォーム)に対する規制が強化され、法改正の前後で被害救済のスピードが以下のように劇的に変わりました。
項目旧:プロバイダ責任制限法新:情報流通プラットフォーム対処法
削除申請への対応判断基準や期限が曖昧で、放置されるケースが多発申請受領から原則1週間程度での判断・通知を義務化
窓口の透明性削除や開示の申請窓口が分かりにくく、海外事業者は対応が遅いオンライン申請窓口の設置や、国内法人の選任を義務化
開示の手続き2022年の改正で一本化されたものの、手続きの迅速化には課題あり悪質な誹謗中傷における発信者情報の開示スピードが向上

参考:総務省 インターネット上の違法・有害情報に対する対応(情報流通プラットフォーム対処法)

大きく変わったのは、義務化が進んだことによる手続きのスピードアップです。

これまでは、サイトの問い合わせフォームから削除を求めても、運営側に明確な期限がなかったため、何ヶ月も無視されることがよくありました。

しかし新法では、一定規模以上の事業者に対し、ユーザーから削除申請があった場合は「原則1週間程度」で削除するかどうかの判断を行い、その結果を申請者に通知することを義務付けています。 

さらに、海外の有名SNS事業者などに対しても、日本国内でのオンライン窓口設置や責任者の選任を義務化したため、「海外サイトだから連絡がつかない」といったハードルも解消されました。

これにより、被害の拡散を最小限に抑える迅速な削除と、加害者を特定するためのスムーズな開示が同時に実現できるようになり、被害者救済へのハードルは大きく下がっています。

いくら消しても湧いてくる誹謗中傷への対処法

いくら消しても湧いてくる誹謗中傷への対処法ネット上の誹謗中傷トラブルにおいて、最も厄介なのが「削除しても別の場所にまた書かれる」という、いたちごっこの状態です。

悪質な投稿を一つずつ削除していくのは基本ですが、そのスピード感では無数の誹謗中傷を、第三者の目に触れるのを防ぎきれないケースもあります。

そこで重要になるのが、検索エンジンの仕組みを利用して、ネガティブな情報をユーザーの視界から物理的に遠ざける以下の対策です。
  • 逆SEO対策で誹謗中傷サイトそのものを隠す
  • サジェスト汚染対策で誹謗中傷ワードを検索させない

逆SEO対策で誹謗中傷サイトそのものを隠す

いくら削除しても誹謗中傷が繰り返される、また複数のサイトに拡散されて手に負えないといった場合、ページ自体を消せなくても、第三者の目に触れさせないようにする「逆SEO」という手法があります。

通常のSEOが「特定のWebサイトを検索結果の上位に表示させる対策」であるのに対し、逆SEOは「誹謗中傷や悪評が書かれたページを、検索結果の下位(2ページ目以降)へと押し下げる対策」です。 

Googleなどの検索エンジンにおいて、検索結果の下位になるに連れて上位記事と比べて、ユーザーのクリック率が激減していくことが判明しています。

参考データ例:First Page Sage 2026 Click-Through Rates (CTR) by Google Ranking Position

つまり、検索結果のトップ(1ページ目)から悪評ページを排除できれば、サイト自体が残っていても多くの人に見られない状況を作ることができます。

具体的なアプローチとしては、以下のような手法を用いて、検索結果の1ページ目をクリーンな情報だけで埋め尽くす対策を行います。
  • 公式サイトやSNS(X、Instagramなど)など、複数のドメインで検索結果を占有する
  • 信頼性の高い外部メディアやプレスリリースを活用し、自然な被リンクを獲得する
  • note、YouTubeなどのドメインの強いプラットフォームで上位を狙う
いくら消してもきりがない嫌がらせや、法的な削除が難しい書き込みに対しては、正しい情報を育てて悪評を覆い隠す、この逆SEO対策が有効な防衛策となります。

サジェスト汚染対策で誹謗中傷ワードを検索させない

誹謗中傷サイトを検索結果の下位に押し下げても、検索窓に名前を入力した際、予測変換に「やばい」「炎上」といったネガティブなキーワードが表示されることがあります。

このように検索候補(サジェスト)が、ネガティブワードで埋め尽くされる現象を「サジェスト汚染」と呼びます。

ネガティブな言葉は、ユーザーが気になって検索候補をクリックしやすいため、誹謗中傷の拡散につながってしまいます。

つまり、このネガティブなキーワードを排除できれば、その先の誹謗中傷サイトへユーザーをたどり着かせないようにすることができます。

具体的なアプローチとしては、以下のような手法を用いて、検索候補を正常化する対策を行います。
  • GoogleやYahoo!の窓口から、ガイドライン違反による削除申請を行う
  • サジェスト対策の専門会社を通じて、検索エンジンのアルゴリズムに基づいた非表示対策を講じる
  • ポジティブな関連キーワードでの検索・コンテンツ発信を増やし、サジェストを健全なワードに塗り替える
サジェスト汚染対策は、誹謗中傷サイトへの入り口そのものを封鎖する有効な防衛策です。

誹謗中傷のよくある質問(FAQ)

誹謗中傷のよくある質問(FAQ)ネット上で誹謗中傷の被害に遭うと、パニックになり何から始めればいいのか、混乱してしまいがちです。

ここでは、誹謗中傷トラブルに直面した方が特につまずきやすい疑問について、分かりやすく解説します。

Q:誹謗中傷をされたらどこに相談すればいいですか?

誹謗中傷を受けた場合、その目的(消したいのか、捕まえたいのか、お金を請求したいのか)によって相談先が異なります。

まずは、以下の3つの窓口を状況に合わせて使い分けるのが基本です。
  • 被害の拡散をすぐに止めたい ⇒【違法・有害情報相談センター】
  • 相手に刑事罰を科したい、身の危険を感じる ⇒【警察(サイバー犯罪相談窓口)】
  • 犯人を特定して賠償金を請求したい ⇒【弁護士】
こうした窓口で対処しても、ネット上の誹謗中傷が长期的に収まらない場合には、逆SEO対策やサジェスト汚染対策といった、検索結果をクリーンに保つ対策を検討していくことになります。

Q:開示請求や損害賠償請求をしても費用倒れ(赤字)になりませんか?

結論から言うと、現在の日本の裁判制度では費用倒れ(赤字)になってしまうケースが少なくありません。 

例えば、裁判事例で紹介した「ゆたぼん氏」の件では、裁判所から認められた賠償金額は33万円でした。

しかし、匿名相手の身元を特定(開示請求)し、さらに損害賠償請求の裁判を起こすために弁護士に支払う費用は、一般的に数十万〜数百万円にのぼることが多いのが現実です。

実際、ゆたぼん氏の父もこの件に関して「裁判費用は完全に赤字」と述べています。

それでも多くの被害者が裁判に踏み切る理由は、今後の圧倒的な抑止力になるからです。

「匿名でも特定されて、前科や賠償請求がくる」という恐怖を相手に植え付けることは、自分の尊厳を守り平穏な生活を取り戻すための防衛投資になります。

参考:産経新聞 ユーチューバー「ゆたぼん」を中傷、30代男性に賠償命令

Q:ログイン不要の匿名掲示板などの書き込みでも特定できますか?

アカウント登録やログインが不要な匿名掲示板(5ちゃんねる、爆サイなど)やブログのコメント欄であっても、犯人を特定できます。

ネット上の書き込みは、アカウントの有無に関わらず、投稿した瞬間にサイトのサーバーへ「IPアドレス」と呼ばれるネット上の住所が必ず記録される仕組みになっているからです。

弁護士を通じて発信者情報開示請求を行えば、サイト運営者から「IPアドレス」を開示させ、そこから加害者が利用した通信会社を割り出して、その契約者情報(氏名・住所など)を特定することができます。

なお、この通信データ(アクセスログ)は通常3ヶ月〜半年程度しか保存されません。

時間が経つと足跡が消えて特定不可能になってしまうため、被害に遭ったら一刻も早く専門家へ相談し、ログの保存手続きを進めることが重要です。

まとめ:誹謗中傷は軽はずみな気持ちでは済まされない

インターネット上の誹謗中傷は、「匿名だからバレないだろう」「ちょっとしたストレス発散のつもりだった」という軽はずみな言い訳では決して済まされない時代になっています。

近年、侮辱罪への懲役刑導入や公訴時効の延長、さらに「情報流通プラットフォーム対処法」の施行など、加害者を逃がさず迅速に特定するための法整備が整ってきています。

実際にネット上の誹謗中傷やデマ拡散によって、高額な賠償命令だけでなく、一発で「前科」がつくという悲惨な末路を迎えた加害者も増えています。

もし、あなたが根拠のない言葉の暴力に晒されているなら、感情的に反論して火に油を注ぐのではなく、まずは確実な証拠を保存し、毅然とした態度で法律の手続きを進めてください。

誹謗中傷は、人間の軽はずみな心理がある限りなくなることはありませんが、法的な手段で対処することは可能です。

一人で抱え込まず、専門の相談先やこの記事で紹介した対策をフル活用して、自らの尊厳と平穏な日常を守りましょう。

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