「誹謗中傷を弁護士に依頼したけれど、削除できなかった…」
高額な費用や時間をかけて手続きを進めたにもかかわらず、このような苦い結果に直面し、途方に暮れていませんか。
弁護士であっても、ネット上のあらゆる書き込みを100%削除できるわけではないのが現実です。
法律の壁や証拠の不備、サイト運営元の実態といったさまざまな要因によって、削除要請が通らずに失敗に終わってしまうケースは存在します。
では、すでに法的手段で行き詰まってしまった誹謗中傷の書き込みに対して、もう打つ手はないのでしょうか。
本記事では、弁護士でも削除できない書き込みの具体的な原因や法的基準を整理した上で、削除に失敗した・できなかった時の「次の一手」として有効な風評被害対策について詳しく解説します。
「消す」ことが難しくても、ユーザーの目から「遠ざける」ことで誹謗中傷を抑え込める代替手段を知り、自分にとって最適な対処法を見つけましょう。
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CONTENTS
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弁護士が削除できない書き込みとは?
法律の専門家である弁護士であっても、ネット上のすべての書き込みを削除できるわけではありません。
なぜなら、削除請求が認められるには法的根拠やサイト側の規約違反が必要であり、それらをクリアできないケースがあるからです。
具体的にどのような書き込みが削除困難なのか、以下の5つの主な原因について解説します。
- 投稿内容が「真実」で「公益性」がある場合
- そもそも規約違反や違法性が認められない場合
- 権利侵害を証明する「証拠」がない場合
- 海外の特殊なサーバーや匿名掲示板である場合
- 依頼した弁護士が「ネット・IT分野」に疎い場合
投稿内容が「真実」で「公益性」がある場合
ネット上の書き込みが「真実」であり、かつ「公益性」があると判断される場合、弁護士が介入しても削除が困難な場合があります。これは刑法第230条の2に、以下の通り、名誉毀損の例外規定が明記されているためです。
(公共の利害に関する場合の特例)この条文の通り、たとえ他人の社会的評価を落とす記述であっても、公共の利益につながる真実の告発であれば違法とはみなされません。
第二百三十条の二 前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
たとえば、以下のようなケースです。
- 企業が実際に起こした不祥事や法令違反に関する内部告発
- 労働基準法違反や残業代未払いなど、実際の労働環境への不満
- 飲食店や医療機関などで提供されたサービスに関する客観的な悪評
そもそも規約違反や違法性が認められない場合
弁護士が削除依頼を行う大前提として、投稿内容に法的権利侵害などの違法性、あるいはサイトの利用規約違反が存在しなければなりません。単に企業にとって都合の悪いネガティブな内容や、不快に感じる書き込みであるという理由だけでは、弁護士であっても削除を強制することは不可能です。
ネット上の口コミやレビューサイトにおいて、違法性や規約違反と認められず削除できない具体的なケースは、以下の通りです。
- 「接客が冷たかった」「料理が口に合わなかった」という主観的な個人の感想
- 「この会社の商品はお勧めしない」といった、誹謗中傷に当たらない正当な批判
- サイト側が「ユーザーの自由な意見交換の範囲内」と判断したグレーな書き込み
そのため、明確な権利侵害がない限り、弁護士の要請を拒絶する場合があります。
権利侵害を証明する「証拠」がない場合
弁護士が裁判所やサイト管理者に削除を認めさせるためには、その書き込みによって自社の権利がどのように侵害されたかを客観的な証拠で証明しなければなりません。単に「悪評が書かれている」という事実だけでは不十分であり、証拠が不揃いな状態では法律の専門家であっても削除申請を通すことが難しいのが現状です。
とくに、書き込みが行われた当時の前後の文脈や、事実無根であることを証明するデータ、それによって実害が発生していることを示す資料必要になる場合があります。
また、サイト側のサーバーログの保存期間も重要です。
仮処分などの法的手続きを進める際、サイト側のログの保存期間が過ぎていると、裁判所に提出すべき「そのURLに確かにその書き込みが存在した」というシステム上の接続証拠が完全に消滅してしまいます。
これにより、審理自体が進められなくなるケースがあります。
総務省の要請では、通信履歴の保存期間は一般的に「3〜6ヶ月程度」が目安とされており、この期間を過ぎるとデータの確保は容易ではありません。
弁護士は法と証拠に基づいて戦うため、データの立証ができなくなれば、削除が困難になります。
海外の特殊なサーバーや匿名掲示板である場合
書き込みが投稿されたプラットフォームが、海外の特殊なサーバーを経由していたり、完全に身元を隠匿できる匿名掲示板であったりする場合、弁護士による削除が難しくなります。これは日本の法律や裁判所の命令が、海外の運営法人に対して強制力を持たないケースがあり、手続き自体が難航するためです。
具体的には、運営元が所在国すら特定できないケースや、サイトの管理者が意図的に追跡を逃れるため特殊なサーバーを利用しているパターンがこれに該当します。
こうしたサイトでは、弁護士が日本の裁判所から「削除の仮処分命令」を取得したとしても、現地の運営者が命令を無視し続けるため実質的に強制執行ができません。
日本の法的手続きが通用しないエリアに存在する書き込みに対しては、弁護士であっても手が出せないのが実情です。
依頼した弁護士が「ネット・IT分野」に疎い場合
相談した弁護士自身が「ネット・IT分野」の仕組みや技術的な知識に疎い場合、本来なら消せるはずの書き込みであっても削除に失敗することがあります。弁護士と一言で言っても、離婚や相続、交通事故など得意分野はそれぞれ異なり、インターネット上の風評被害対策には法律の知識だけでなく高度なITリテラシーが求められるためです。
たとえば、サイトの構造やサーバーの仕組みを理解していないため適切な削除申請ルートを導けないケースや、海外の運営元に対する英語での交渉ノウハウを持っていないパターンなどが挙げられます。
また、ネット上の書き込みはログの保存期間があるため、スピード勝負であるにもかかわらず、知識不足から手続きに時間がかかり、結果として証拠が消えて手遅れになることも考えられます。
ネット分野の実績が乏しい弁護士に依頼してしまうと、法的なアプローチの選択を誤り、解決に至らない可能性があります。
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弁護士が削除できる書き込みは「法的権利侵害」に当たる誹謗中傷
弁護士が法的な手段を用いて削除できるのは、明確な「法的権利侵害」が認められる書き込みです。
ネット上の悪評であっても、個人の主観的な感想ではなく、法律が保護する権利を明らかに侵害している誹謗中傷であれば、裁判所やサイト管理者は削除を認めます。
具体的にどのような書き込みが法的権利侵害に該当し、弁護士による削除の対象となるのか、以下の4つの法律に分類して解説します。
- 【名誉毀損】デマや嘘の悪評による「社会的評価の低下」
- 【侮辱罪】具体的な事実を持たない、過度な「人格否定」
- 【プライバシー権の侵害】本名や住所、前科など「私生活の暴露」
- 【信用毀損・業務妨害】虚偽の流布による「お店や会社への実害」
【名誉毀損】デマや嘘の悪評による「社会的評価の低下」
企業や個人の社会的評価を低下させる、嘘やデマの書き込みは名誉毀損に該当し、弁護士が削除を通しやすい典型的なケースです。刑法第230条では、名誉毀損について以下のように規定されています。
【名誉毀損】この条文にある「事実を摘示し」とは、具体的な事柄を挙げるという意味です。
第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
ネット上で「この会社は過去に〇〇という不祥事を起こした」「ここの社長は反社とつながっている」といった具体的な内容を書き込まれ、それにより信用が落ちる実害が出ている場合は名誉毀損が成立します。
さらに、条文には「その事実の有無にかかわらず」とあるため、たとえ内容が真実であっても、嫌がらせ目的で私的な問題を暴露するような行為も処罰の対象となり、弁護士による削除の対象になります。
【侮辱罪】具体的な事実を持たない、過度な「人格否定」
具体的な根拠がないにもかかわらず、公の場で他人の人格を激しく攻撃するような書き込みは侮辱罪に該当し、弁護士による削除の対象となります。刑法第231条では、侮辱について以下のように規定されています。
【侮辱】名誉毀損との大きな違いは、「事実を摘示しなくても」という点にあります。
第二百三十一条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、一年以下の拘禁刑若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
つまり、客観的な出来事やエピソードを挙げることなく、単に「バカ」「無能」「死ね」といった罵詈雑言や悪口をネット上に書き連ねる行為がこれに当たります。
掲示板やSNSで特定の個人に対して、社会的通念から大きく外れるような過度な人格否定や誹謗中傷が行われている場合、明確な法的権利侵害として弁護士を通じて削除を求めることが可能です。
【プライバシー権の侵害】本名や住所、前科など「私生活の暴露」
個人の本名や住所、家族構成、過去の病歴や前科など、他人に知られたくない私生活の情報をネット上に無断でさらす行為はプライバシー権の侵害に該当します。プライバシー権は刑法に直接の明文規定はありませんが、民法第709条の「不法行為」を根拠として、弁護士を通じて削除や賠償を請求することができます。
【不法行為による損害賠償】この条文にある「法律上保護される利益」にプライバシー権が含まれます。
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
つまり、ネット掲示板などで「〇〇会社の従業員の住所はここ」「ここの社長には前科がある」といった私生活の情報を暴露する書き込みは、たとえその内容が事実であっても違法とみなされます。
公開された側は精神的な苦痛や実生活への脅威を受けるため、弁護士はプライバシー侵害という明確な権利侵害を理由に、サイト管理者へ削除を求めることが可能です。
【信用毀損・業務妨害】虚偽の流布による「お店や会社への実害」
嘘の情報やデマをネット上に拡散させ、店舗や企業の経済的な信用を傷つけたり、正常な営業活動を妨げたりする書き込みは、信用毀損罪や業務妨害罪に該当します。刑法第233条では、これらの行為について以下のように規定されています。
【信用毀損及び業務妨害】条文の「虚偽の風説を流布し」とは、客観的な事実に反する噂やデマを世間に広める行為を指します。
第二百三十三条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
ネット上で「このレストランの料理にゴキブリが入っていた」「あの会社は近々倒産するらしい」といった嘘の悪評を流し、客足の減少や予約のキャンセルといった実害を生じさせるケースがこれに該当します。
これらの投稿は企業活動に致命的な損害を与えるため、弁護士は刑事事件への発展性や多大な経済的損失のリスクをサイト管理者に提示し、削除を求めることができます。
そもそも弁護士に削除依頼すると何をしてくれる?
弁護士に削除依頼をすると、法律に基づき、【任意交渉】、【裁判手続き】、【発信者特定】までを一貫して代行してくれます。
これらは個人や自社での削除申請とは異なり、法的根拠を明確に示した書類を提示し手続きを進めていくため、サイト管理者が削除に応じる確率が高まる点が大きな特徴です。
具体的に弁護士が何をしてくれるのか、その削除依頼のプロセスについて、段階を追って詳しく解説します。
- 【任意交渉】サイト運営者や管理者へ「削除申請」
- 【裁判手続き】応じない場合の「削除の仮処分命令」の申し立て
- 【発信者特定】悪評を再投稿させないための「開示請求・賠償請求」
【任意交渉】サイト運営者や管理者へ「削除申請」
弁護士が最初に行うのが、サイトの運営者や管理者に対して裁判を通さずに直接削除を求める「任意交渉」です。一般的には「送信防止措置依頼書」という正式な法的書面を作成・送付し、どの書き込みが何の権利を侵害しているのかを法律の観点から厳密に主張します。
これによって、個人で問い合わせフォームに削除依頼する場合と比較すると、サイト側の対応にも大きな差が生まれます。
多くのサイトには簡易的な問い合わせ窓口が設置されていますが、個人がそこから「嫌がらせだから消してほしい」「嘘を書かれて困っている」と感情的に訴えても、サイト側は「表現の自由」や「規約違反とまでは言えない」といった理由で無視するか、定型文で拒否することがほとんどです。
弁護士が動く場合は、フォームではなくガイドラインに則った書面を用いて、「どの書き込みが、どの法律の、何の権利を侵害しているか」を理路整然と突きつけます。これを受け取ったサイト側は、「無視すれば自社も不法行為の片棒を担いだとして損害賠償を請求されるリスク」や「裁判(仮処分)を起こされるリスク」を察知します。結果として対応の優先度が上がり、迅速に削除に応じる確率が高くなります。
【裁判手続き】応じない場合の「削除の仮処分命令」の申し立て
任意交渉(送信防止措置依頼)を行ってもサイト管理者が削除に応じない場合、あるいは無視された場合は、裁判所を通じて強制的に削除を命令してもらう「仮処分(民事保全手続き)」を申し立てます。仮処分とは、通常の裁判(本訴)を起こしていては決着がつくまでに何ヶ月もかかってしまい、その間に被害が拡大してしまうため、裁判所がスピード重視で暫定的な命令を下す手続きのことです。
ネット上の誹謗中傷対策においては、この仮処分が実質的な確定命令として機能します。
手続きにあたっては、裁判所に対して「どの投稿が自社のどの法的権利を侵害しているか」を厳密に記した申立書と、それを裏付ける客観的な証拠を提出する必要があります。
審理の結果、裁判所が権利侵害の事実を認め、サイト管理者に対して「削除命令」を出せば、大半のサイトは法的なペナルティや社会的信用の失墜を恐れて即座に削除に応じます。
任意の交渉では頑なに削除を拒んでいた大手掲示板やSNSであっても、国の機関である裁判所からの公式な命令には従わざるを得ないため、悪質な書き込みを削除するための強力な手段となります。
参考:裁判所 民事保全
【発信者特定】悪評を再投稿させないための「開示請求・賠償請求」
弁護士ができることは、単に書き込みを削除することだけに留まりません。悪質な悪評を二度と投稿させないための根本的な解決策として、書き込んだ犯人を突き止める「発信者情報開示請求」を行い、その後に損害賠償請求や刑事告訴へと繋げることができます。
この発信者を特定する手続きは、従来のプロバイダ責任制限法から情報流通プラットフォーム対処法へと抜本的に見直されたことにより、迅速かつ実効性の高い開示手続きが取れるようになっています。
「発信者情報開示請求」によって投稿者を特定するプロセスは、以下のような流れになります。
- 投稿の証拠を保全し、サイト運営者から「IPアドレス」を特定する
- IPアドレスから経由した「通信事業者」を特定し、アクセスログの消去を防ぐ
- 通信事業者へ裁判所の開示命令を出し、投稿者の「氏名・住所・電話番号」を特定する
- 民事上の不法行為に基づく損害賠償(慰謝料)の請求
- 将来的な再投稿や嫌がらせを禁止する誓約書の締結
- 名誉毀損罪や業務妨害罪を理由とした警察への刑事告訴
弁護士の手によって「匿名であっても必ず特定され、相応の代償を払わされる」という現実を突きつけることこそが、強力な再発抑止力となります。
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弁護士に依頼して削除に失敗した時のリスク
弁護士への依頼は誹謗中傷に対する有力な手段ですが、必ずしも100%削除が成功するとは限りません。
もし、削除に失敗した場合、悪評が残るだけでなく、金銭的・社会的に大きな損害を被るリスクがあります。
後悔しない選択をするために、事前に知っておくべき2つの失敗リスクを解説します。
- 高額な着手金だけを支払い赤字に終わる
- 「削除要請された」ことが晒されて炎上する
高額な着手金だけを支払い赤字に終わる
弁護士へ依頼する際に最も注意すべきなのが、結果に関わらず発生する「着手金」の存在です。弁護士費用は一般的に、依頼時に支払う「着手金」と、削除が成功した際に支払う「報酬金」の2段階に分かれています。
もし削除に失敗した場合、成功報酬を支払う必要はありませんが、はじめに支払った着手金は戻ってきません。
ネット上の誹謗中傷削除における、一般的な費用相場は以下の通りです。
| 着手金の相場 | 成功報酬の相場 | |
|---|---|---|
| 任意交渉(サイトへの直接請求) | 5万円〜10万円前後 | 5万円〜10万円前後 |
| 裁判手続き(削除の仮処分) | 20万円〜30万円前後 | 20万円〜30万円前後 |
| 発信者情報開示請求(投稿者の特定) | 15万円〜30万円前後 | 15万円〜30万円前後 |
もし、法的な権利侵害をうまく立証できずに裁判所で「削除却下」の判断が下されると、誹謗中傷は残ったまま、高額な着手金だけを失うというリスクを負うことになります。
「削除要請された」ことが晒されて炎上する
良かれと思って弁護士を通じて削除を求めた行為が、かえって事態を悪化させ、炎上してしまうリスクがあります。これは、心理学やネット社会におけるストライサンド効果によって起こります。
ストライサンド効果とは、特定の情報(不都合な事実や悪評)を隠蔽・削除しようと試みた結果、かえってその行為が人々の関心を集めてしまい、余計に情報が拡散されてしまう現象のことです。
とくに一部の悪質な投稿者、あるいは告発系のインフルエンサーなどは、弁護士から送られてきた送信防止措置依頼書そのものを公開し、晒し上げることがあります。
- 「〇〇会社が弁護士を使って都合の悪い口コミを消そうとしています!」
- 「事実だから消したいんですよね?」
削除を依頼する際は、法律論だけでなく「これを送ったら相手がどう動くか」というリスクマネジメントまで見通して、慎重に立ち回ることが求められます。
弁護士でも削除できなかった場合の手段
どれだけ実績のある弁護士でも、権利侵害が認められないようなケースでは、書き込みを削除できません。
ただし、書き込みを消すのが難しい場合でも、次の一手として、ユーザーの目に触れにくくする風評被害対策は有効です。
弁護士による削除が失敗した、あるいは無理だと断られた場合に、検討すべき2つの対処法を解説します。
- 【逆SEO対策】悪評ページを検索結果から隠す
- 【サジェスト汚染対策】ネガティブワードを非表示にする
【逆SEO対策】悪評ページを検索結果から隠す
法的手段で書き込みを削除できない場合の代替案として、検索結果の画面から書き込みページを見えにくくする逆SEO対策があります。
通常のSEOで自社サイトを検索上位に表示させるのとは逆に、逆SEOは特定の悪評ページを、検索結果の2ページ目以降(11位以下)へ押し下げる施策を指します。
一般的なネットユーザーは、検索結果の1ページ目(上位10サイト)だけを見て情報を判断する人が大半で、2ページ目以降まで細かくチェックする人はごくわずかです。
これは、400万件のGoogle検索結果を分析したBACKLINKOの調査(上図)でも、実際に2ページ目以降のクリックが激減していることが判明しています。
そのため、悪質な書き込みページを11位以下までランクダウンさせれば、書き込み自体は残っていても、それを多くの人の目に触れさせない状態を作り出すことができます。
逆SEO対策では、以下のような手法を用いて検索結果をコントロールします。
- 自社公式サイトや既存の保有メディアのSEO評価を高めて上位をキープする
- 信頼性の高い公式SNSアカウント(X、Facebook、note等)を新設して上位を独占する
- 企業のポジティブな情報を発信するサイトへの露出やプレスリリースを展開する
【サジェスト汚染対策】ネガティブワードを非表示にする
GoogleやYahooなどで検索キーワードを入力した際、自動で表示される候補(サジェスト)にネガティブなキーワードが出る現象を「サジェスト汚染」と呼びます。企業名を入力しただけで「ブラック」「倒産」といった言葉が並ぶと、ユーザーがその検索結果を見る前に強い先入観を与えてしまい、企業のイメージに致命的なダメージを与えます。
また本来なら、会社のHPを見るつもりだったのに、「ブラック」というワードが気になってクリックし、そのまま検索結果の悪い噂の記事を読んでしまうといったことも起こります。
こうしたサジェスト汚染には、以下のような手法でサジェスト欄を別のキーワードに置き換えていきます。
- GoogleやYahooに対して、規約違反を理由としたサジェストの削除申請(通べ)を行う
- ポジティブなキーワードの検索ボリュームが増えるコンテンツを発信し、アルゴリズムに働きかける
- 企業の最新ニュースや正確な情報が反映されるよう、Web上のテキスト情報を最適化する
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弁護士の削除の代替手段に風評被害対策がおすすめな理由
弁護士による法的手段による削除は、時に高いハードルにぶつかることがあります。
一方、検索結果の表示をコントロールする風評被害対策は、法律の枠組みにとらわれない柔軟なアプローチが可能です。
弁護士による削除の代替手段として、なぜこの対策がおすすめなのか、4つの理由から解説します。
- 法で消せない「真実の告発」や「主観的な低評価」にも有効なため
- 相手に知られないため二次炎上リスクがないため
- 一人の投稿者ではなく検索結果全体に向けて対策できるため
- 対策しながら自社のマーケティング資産にもなるため
法で消せない「真実の告発」や「主観的な低評価」にも有効なため
風評被害対策の最大のメリットは、弁護士が「法律上、これ以上は手が出せない」とお手上げになるケースでも、書き込みをユーザーから遠ざけられる点にあります。弁護士を介して書き込みを削除するには、厳しい法律のハードルがあります。
たとえば、会社にとって不都合な書き込みであっても、それが「真実の告発」で公益性につながると裁判所に判断された場合、名誉毀損には当たらず削除が認められないケースがあります。
また、個人の主観的な低評価も正当な批評の範囲とみなされやすく、法律の力で消すことは困難です。
具体的には、以下のようなケースにおいて法的に削除できなかった場合でも、風評被害対策によるアプローチが有効となります。
- 過去の労働環境(残業代、パワハラなど)や不祥事を指摘する事実の告発
- 「接客態度が最悪だった」「料理がおいしくなかった」などの主観的な低評価口コミ
- 「経営陣のワンマン体制が合わずに退職した」といった元従業員による実体験の暴露
- ニュースで大々的に報道されてしまった、過去の事件や行政処分の記事
相手に知られないため二次炎上リスクがないため
風評被害対策が推奨される大きな理由として、投稿者やサイト運営者に一切気づかれることなく、秘密裏に実害を抑え込めるため、二次炎上のリスクが極めて低い点にあります。弁護士を通じた削除請求や開示請求は、相手に対して直接「法的書面」を送りつけることになります。
そのため、高圧的な法的手段に逆上した投稿者が「削除要請された」という事実をSNSに晒し、さらなる大炎上を招くリスクが付きまといます。
一方で、逆SEOやサジェスト汚染対策といった対策は、あくまで検索エンジンの評価や仕組みに対してアプローチする技術的な施策です。
投稿者のアカウントや書き込みそのものには一切手を加えないため、相手を刺激して逆上させ、別のサイトに悪評を再投稿されるリスクもありません。
SNSで拡散されるリスクを完全に回避し、水面下で静かに悪評の影響力を抑制できるのは、風評被害対策ならではのメリットと言えます。
一人の投稿者ではなく検索結果全体に向けて対策できるため
風評被害対策が優れているのは、特定の「一人の書き込み」を個別に消すアプローチではなく、企業名や店舗名で検索された際の「検索結果画面全体」を包括的にコントロールできる点にあります。弁護士による削除請求は、あくまで特定のサイトにある、特定の1投稿をターゲットにした「点」の対策です。
仮に1つを削除できても、別のサイトにコピー(転載)されたり、違う投稿者が似たような投稿をしたりすると、その都度コストをかけて削除しなければなりません。
一方、風評被害対策(逆SEO)は、検索結果の1ページ目という「面」を丸ごと防衛する施策です。
| 弁護士による点の対策 | 風評被害対策による面の対策 | |
|---|---|---|
| 対策の対象 | 特定の1投稿・1サイト | 検索結果の1ページ目全体 |
| コスト | 書き込みの数が増えると、その都度、弁護士費用が掛かる。 | 検索画面全体を強化するため、悪評が増えても対策コストは変動しない。 |
| 得られる効果 | 書き込みを完全に削除できる。
責任追及することで再発防止になる。 | 違法性がなくても対処できる。
不特定多数の人へ悪い噂が流れるのを防げる |
対策しながら自社のマーケティング資産にもなるため
弁護士への依頼費用は「悪評を消すため」だけに消費される掛け捨てのコストですが、風評被害対策に投じる費用は、そのまま企業の未来を支えるマーケティング資産として蓄積されていきます。逆SEO対策の本質は、悪質なサイトを強引に引きずり下ろすことではなく、企業の正しい情報や魅力的なコンテンツを「検索上位へ進出させること」です。
対策の過程で、自社の公式サイトのSEO評価が向上するのはもちろん、新たな特設サイト、SNSアカウント、オウンドメディアなどが次々と構築されていきます。
これらは悪評を隠す防壁として機能するだけでなく、対策が進むにつれて、自社の強みやサービスを世の中に広くアピールする強力な集客チャンネルへと成長します。
結果として、企業のブランドイメージが向上し、認知拡大や売上アップなどのマーケティング効果を中長期的に生み出し続けてくれます。
風評被害の拡散を防ぎながら、同時に企業を成長させるプラス投資にもなるという、合理的なメリットがあるのです。
弁護士と風評被害対策の決定的な違い
誹謗中傷の書き込みに直面した際、弁護士と風評被害対策会社のどちらに依頼すべきか、迷うことがあるかもしれません。
両者はアプローチの方法が根本的に異なるため、それぞれの強みや制限を正しく理解していないと、余計なコストや時間を費やすリスクがあります。
ここでは、後悔しない選択をするために知っておくべき、弁護士と風評被害対策会社の決定的な違いについて解説します。
- 削除交渉ができるかどうか
- 料金プランと費用相場の違い
削除交渉ができるかどうか
弁護士と風評被害対策会社の大きな違いは、サイト運営者や投稿者に対して「削除の交渉や法的な請求ができるかどうか」という権限の有無にあります。法律上の正当な権限を持って、削除交渉を行えるのは弁護士のみです。
風評被害対策会社のような民間企業が、他人に代わって報酬を得る目的で削除交渉や法的請求を行う行為は、弁護士法第72条に違反する非弁行為として固く禁じられています。
そのため、風評被害対策会社が依頼者に変わって、サイト運営者に削除請求することはありません。
- サイト運営者、プロバイダに対する任意の削除請求(送信防止措置依頼書の送付)
- 裁判所を通じた仮処分による削除命令
- 投稿者を特定するための発信者情報開示請求や特定後の損害賠償請求
- 逆SEO対策による、書き込みページの順位下落
- サジェスト汚染ワードの非表示化
一方で、法律の枠外で検索画面の「見え方」をコントロールし、悪評の拡散を抑え込みたい場合は風評被害対策会社が適任です。
料金プランと費用相場の違い
弁護士と風評被害対策業者では、費用の発生する仕組み(料金プラン)が根本的に異なります。弁護士に依頼する場合は、基本的に1つの書き込みや1つのサイトごとに費用が発生するスポット型の料金体系です。
対策を依頼する段階で支払う「着手金」と、削除などが無事に成功した段階で支払う「報酬金」の2種類が必要になるケースが大半です。
一方、風評被害対策業者は、中長期的に検索結果を監視・コントロールするため、月額固定型の料金プランが主流となっています。
それぞれの具体的な費用相場は以下の通りです。
| 弁護士 | 風評被害対策業者 | |
|---|---|---|
| 削除請求 | サイトへ直接削除請求:10〜20万円(着手金+報酬金)
仮処分申し立て(裁判所手続き):35〜40万円(着手金+報酬金) | – |
| 発信者情報開示請求(特定) | 総額:30〜70万円程度 | – |
| 損害賠償請求(慰謝料請求) | 着手金:10〜20万円程度
報酬金:獲得金額の16〜20%程度 | – |
| サジェスト汚染対策 | – | 月額3〜5万円 |
| 逆SEO対策 | – | 月額20〜30万円 |
対して業者の場合は、検索画面全体をカバーするため、どれだけ悪評の数が増えても月額費用が変わらないという特徴があります。
予算の組みやすさや被害の規模に合わせて、どちらの料金プランが適しているかを見極めることが重要です。
風評被害対策に関するよくある質問(FAQ)
風評被害対策を検討するにあたり、多くの方が抱く疑問について解説します。
Q:風評被害対策で一度下がった悪評が、後から再浮上することはある?
再浮上する可能性は、ゼロではありません。検索エンジンが定期的に行う大規模なアップデートによって、評価基準が変わり順位が変動することがあります。
また、SNSなどでその悪評が再び注目を浴び、アクセス数や特定のキーワードでの検索数が一気に急増した場合、サジェストにネガティブなキーワードが再表示されるケースもあります。
風評被害対策は、一度効果が出た後も、継続的な対応が必要になります。
Q:風評被害対策は効果が出るまでにどれくらいかかりますか?
一般的に、サジェスト汚染対策であれば「数日から数週間」、逆SEO対策であれば「3ヶ月〜半年程度」が目安となります。検索エンジンの予測表示が、数日から数週間程度で書き換えられるため、それにあわせて効果が反映されます。
自社サイトやSNSアカウントを育てて上位へ滑り込ませる必要があるため、検索エンジンに正当に評価されるまでに時間がかかります。
Q:風評被害対策の「成果報酬型」とはどのような仕組み?
成果報酬型は、対策が成功した日(または期間)に対してのみ費用が発生する料金システムです。月額固定型(サブスクリプション型)とは異なり、あらかじめ業者と「成果」の定義を決めておき、その条件を達成している期間だけ日割りなどで料金を支払う仕組みです。
検索窓に社名を入れた際、指定したネガティブワードが表示されなかった日
対象の悪評ページが、検索結果の11位以下(2ページ目以降)に落とせている日
また、成果が出続けている間は月額固定型よりも割高な費用を支払い続けなければならないケースもあるため、契約前に「何をもって成功とするか」を明確に確認しておくことが重要です。
まとめ:弁護士で消せない悪評は「風評被害対策」で拡散を抑える
ネット上に蔓延する誹謗中傷や悪評への対策は、「削除する」ことだけがすべてではありません。
本記事で解説した通り、企業にとって不都合な書き込みであっても、それが「公益性のある告発」だったり、個人の「主観的な低評価」だったりする場合は、法律の力で削除することは困難です。
また、強引に法的削除を進めた場合、投稿者を刺激して逆上や晒し上げられて二次炎上するリスクもあります。
だからこそ、弁護士が手を出せないグレーゾーンの書き込みには、技術的な風評被害対策が最適な代替手段となります。
逆SEO対策やサジェスト汚染対策は、投稿そのものを消さずとも、多くのユーザーが目にするネット検索上の悪評を排除し、実質的に情報を遮断するアプローチです。
相手に気づかれることなく水面下で対策を進められるだけでなく、対策の過程で構築したWebメディアやSNSは、将来的に自社の認知拡大や集客を支えるマーケティング資産にもなります。
明らかに違法な誹謗中傷は弁護士に依頼をし、法律では消せないグレーな悪評や検索上のイメージ回復には風評被害対策業者を頼るのが賢明です。
それぞれの強みと役割を正しく理解し、自社の状況に合わせた最適な手段で企業の信用と未来を守り抜きましょう。
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